1990年代後半から2000年生まれを指すZ世代。トレンドに敏感な世代の“お財布事情”はコロナでどう変わったのか。
資生堂プロフェッショナルは、「年間4回以上美容室を利用している25歳未満の女性」を対象に調査を行った。
目次
① 美容室の利用回数減が半数以上
「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、美容室へ行く回数に変化がありましたか?」という質問には、半数以上の人が「減った(55.8%)」と回答。「変わらない(42.8%)」と回答した人をわずかに上回った。
不要不急の外出を自粛するため、美容師との接客における濃厚接触を避けるために、美容室に行くことをためらっている人が多いと言えそうだ。
② 1回当たりの金額に変化も
美容室に行く回数が減った人に「美容室で1回にかける金額に変化はありましたか?」と聞いたところ、7割以上の人が「変わらない(73.6%)」と回答したが「増えた(14.0%)」と回答した人も1割を超えた。
前回の来店から期間が空いてしまう分、1回の施術を丁寧に行いたいという心理がうかがえる。
では、1回の施術での金額が増えた人は、どのような施術をする人が多いのだろうか?
「1回の施術での金額が増えた方は、具体的に何にお金をかけているのか教えてください(上位2つ迄)」という質問には、「ヘアカラー(65.5%)」が最も多く、次いで「トリートメント(51.7%)」「カット(32.2%)」「縮毛矯正(12.6%)」「パーマ(4.6%)」と続いた。
期間が空いてしまった分褪色してしまい、根元の毛が伸びてプリン状態になってしまう人も多いはず。髪のケアが行き届かず髪のダメージが増えてしまうことも、1回の施術に使う金額が増えることに影響しているのかもしれない。
③ 流行メニューの認知度と体験率
「美容室でヘアカラーをする頻度を教えてください」という質問には、6割以上の人が「毎回ヘアカラーをしている(32.1%)」「2回に1回はヘアカラーをしている(29.0%)」と回答した。
では、Z世代の女性は、いま流行っている施術メニューについてどのくらい知っているのだろうか?
「この中で知っているものを教えてください(複数回答可)」という質問には、「インナーカラー(69.9%)」が最も多く、次いで「グラデーションカラー(66.2%)」「髪質改善トリートメント(64.0%)」「外国人風ヘアカラー(46.2%)」と続いた。
また、「この中でやったことがあるものを教えてください(複数回答可)」という質問には、「髪質改善トリートメント(50.6%)」が最も多く、次いで「インナーカラー(27.2%)」「グラデーションカラー(25.7%)」「外国人風ヘアカラー(24.5%)」と続いた。
Z世代女性の多くが、トレンドのヘアカラーや施術メニューについて知っていることが明らかになったが、グラデーションカラー、バレイヤージュ、インナーカラー等のブリーチ施術を伴うメニューについては体験率が下がる傾向に。
Z世代はヘアカラーに対して自由度の高い、おしゃれを楽しめる世代と思われがちだが、アルバイト環境などで派手なカラーを楽しめないという人も少なくないだろう。また、明るめのカラーなどは髪へのダメージが大きいため、なかなか挑戦できないという人もいると思われる。
最も体験率が高い「髪質改善トリートメント」は、派手なカラーを楽しめない人や派手なカラーで髪へのダメージを受けた人のどちらにも取り入れやすいメニューであるため、実際にやったことがある人が多いのかもしれない。
④ ヘアカラーに求めるのは色持ちとダメージ抑制
「サロンヘアカラーで仕上がりの色+αで何を求めますか?」という質問には、「色持ちの良さ(55.0%)」と回答した人が最も多く、次いで「傷みづらい(22.7%)」「潤い(11.3%)」と続いた。
お金と時間を費やすヘアカラーだけに、色の仕上がりに加えて色持ちの良さやダメージの少なさを求めている人が多いことがうかがえる。
ヘアカラーを繰り返したり、ケアが行き届いてなかったりすると髪も傷んでしまうため、髪が傷みづらい施術や潤いを保てるヘアカラーを求めている人が多いと言えそうだ。
一方、「ヘアカラーであきらめている(ヘアカラーにつきものな)ことは何ですか?」という質問には、「髪のダメージ(38.1%)」との回答が最も多く、次いで「出費(36.4%)」「仕上がりと想像したイメージとのギャップ(14.4%)」と続いた。
ヘアカラーをするのに伴い、髪のダメージや出費は避けられないと考えている人が多い。髪のダメージや出費を諦めているからこそ、色持ちの良さや傷みづらさといったことをサロンカラーに期待している人が多いのかもしれない。
⑤ 毎回トリートメントをしているのは3割
「美容室でサロントリートメントをしていますか?」という質問には、7割以上の人が「毎回している(29.4%)」「たまにしている(43.6%)」と回答した。
髪へのダメージをあきらめている人も多いが、少しでもダメージを抑えるためにサロントリートメントをしている人が多いようだ。
美容室にはある程度予算を決めて行く人が多いと思われるが、予算の他にプラスで出せる金額はいくらくらいなのだろうか?
「美容師とのカウンセリングで当日に+αで出せる金額はいくらくらいまでですか?」という質問には、「~1,000円未満(25.9%)」と回答した人が最も多く、次いで「1,000円以上~1,500円未満(23.0%)」「1,500円以上~2,000円未満(18.9%)」「2,000円以上~2,500円未満(10.3%)」「2,500円以上~3,000円未満(7.4%)」と続いた。
ヘアカラーであきらめていることに関して、髪のダメージ以外に「出費」と回答する人も多くいたが、7割以上の人が1,000円以上の出費であれば許容範囲であると回答している。
新型コロナウイルスの影響で美容室に行く頻度が減ってしまったという人は、次回、美容室に通うまでの期間が空いてしまうことを考慮して、美容師のアドバイス通りにメニューを追加する人が多いのかもしれない。
⑥ コロナ禍で求められるサービスの質
今回の調査では、半数以上のZ世代の女性が新型コロナウイルスの影響を受け、美容室に行く頻度が減っているということが判明した。しかし減った人の中には、「1回の施術にかける金額が増えた」という人も見られる。
美容室は、このような状況だからこそパフォーマンスの質を上げ、お客さまの満足度を上げていくことが求められるだろう。
さらに、Z世代の女性がヘアカラーで求めていることは「色持ちの良さ、ダメージを抑制する」ということ。これからの時代は、ヘアカラーの仕上がりだけでなく、髪へのダメージが少ないカラー剤が必須となるのかもしれない。
「Z世代のお財布事情」に関する調査
調査日:2020年9月10日
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,111人
調査対象:年間4回以上美容室を利用しているZ世代の女性
モニター提供元:ゼネラルリサーチ