美容師やメーカー、ディーラーといった垣根を越え、美容業界の活性化に向けて「プロフェッショナルな人材の育成」を目指す「髪の巧」。
松村勝巳さん(ANTEnNA Hair Resort)が美容技術全般と経営理論、北原義紀さん(SORA)がデザイン・ファッションに関わる美容技術、山口高宏さん(anemo)がヘアカラー技術、岩澤雄志さん(COLORS Island)がパーマ技術を担当し、それぞれが蓄積した知識や技術などの財産を隠さず公開する姿勢でセミナーを行っており、その活動は8年目を迎える。
11月6日には、東京・渋谷の住田美容専門学校ホールでセミナーを実施。ニューヨークで活躍する松村さんも帰国し、久しぶりに運営メンバーの4人がそろっての開催となった。
「ウィービング」の技法(山口高宏さん/anemo)
当日はまず、山口さんが、ブリーチハイライトでつくるカラーデザインとして、ウィービングの技法を実演した。
「根本はアルカリカラー、中間からトナーカラーといったやり方で色合わせがちゃんとできますか?」と疑問を投げかけ、全体的に縦にハイライトを入れるウィービングの長所を解説。
軽妙なトークを交えながら、髪の毛を持ち上げた時にハイライトがきれいに出ているかなど、おろそかになりがちなポイントについても指摘した。
「エイジングケアパーマ」の提案(岩澤雄志さん/COLORS Island)
続いて、岩澤さんが「エイジングケアパーマ」として、還元酸化でケラチンを髪の内部に補修し、毛髪の弾力をアップする技術を紹介した。
毛髪のメカニズム、薬剤や放置時間の違いを試した毛束の状態などを映像を用いて詳しく説明しながら施術。
「毛髪内のS-S結合は加齢に伴い減少するが、だからといって強い薬剤を使うと髪が傷む。弱い薬で効率よく行うには、ケラチンを増やし、毛髪そのものを丈夫にすることが大切」と強調した。
話題の「酸熱トリートメント」(松村勝巳さん/ANTEnNA Hair Resort)
松村さんは、いま話題の酸熱トリートメントを紹介。酸熱トリートメントは、S-S結合を酸性の力で切断•再結合させるため、ほぼノーダメージで髪のクセを伸ばすことができる革新的な技術として注目を集めている。
「髪のクセというのは、(折りたたまれたように)曲がっているのではなく、ねじれ。だから、ねじれをほどくように考えるといい」と持論を展開。縮毛矯正ほどは持たないが自然に仕上がること、ニューヨークでは1回280ドルの高単価メニューでも需要があること、ヘアアイロンの温度などをレクチャーし、日本には導入されていない酸熱トリートメントブランドなども紹介した。
「今を創る」、カット&フィニッシュワーク(北原義紀さん/SORA)
最後に、北原さんが「平成最後の今を創る」として、カット&フィニッシュワークを披露。
カットの始めに「人の頭は、ウィッグのようにシンメトリーではないので、ハチの大きさなどを見ながら、どうセクショニングを取るかが大事」と話すと、セニングシザーの先を使って縦になじんだ切り口にする技術、切り立て感をあまり出さない方法、耳の後ろの空間をどのくらい出すかのセンスまで丁寧に解説した。
“蓄積した知識や技術などの財産を隠さず公開する”という「髪の巧」の精神を表すセミナーとなり、参加者はステージに上がって間近で技術を見たり、写真を撮ったりと、熱心に学ぶ姿勢を見せていた。
▽「 髪の巧」ウェブサイト=http://www.kaminotakumi.jp/