美容師さんの職業病とも言われ、離職の要因にもなってしまう手荒れ。新型コロナ対策で手洗いやアルコール消毒の機会が増えたことで、どのような影響があったのでしょうか?
そこでビュートピア編集部では「美容師さんの手荒れ・ハンドケア実態調査」として読者アンケートを行いました。その結果をレポートします。
目次
「手荒れで離職した人がいる」が8割
実施期間:2020年11月13日~12月10日
形態:インターネット調査(記事経由のアンケートフォームにて実施)
回答者数:102人
回答者は経営者・幹部が約6割、スタッフが約4割です。詳しくは「サロン経営者(施術はしない)」8人、「サロン経営者(自身もスタイリストとして施術をする)」50人、「スタイリスト」33人、「アシスタント」5人。その他として回答のあった副代表兼スタイリスト、カラーリスト、フリーランス美容師は適宜振り分けました。
経営者も含め、回答者全体の9割強が自ら施術をしています。
「手荒れが原因で離職した人が周りにいますか?」(単一回答)との問いには、「自身のサロン(現在または過去の勤務先)にいる・いた」(44人)、「自身のサロンではないが、友人・知人にいる」(40人)を合わせた8割以上の人が「手荒れによる離職者がいる」と答えました。
「手荒れに悩んだ経験あり」が8割超
「あなた自身は現在、手荒れに悩んでいますか?」(単一回答)との問いへの回答は 「①手荒れしている」が53人、「②以前は手荒れしていたが、今は手荒れしていない」が32人、「③手荒れしたことはない」が17人。
①と②を合わせると、手荒れに悩んだ経験のある人が8割強に上ります。
手荒れしている理由は「シャンプー」「ヘアカラー」
「①手荒れしている」と答えた人に理由を聞いたところ、「サロンワーク(シャンプーによるもの)」が4割強、「サロンワーク(ヘアカラー)によるもの」が3割強を占めました。
次いで「体質によるもの」(17人)、「ハンドケアをしていないから」(11人)。
その他、自由回答では「コロナ対応でサロンワークでもそれ以外でもアルコール消毒の頻度が増えた」「整髪料やパーマなども原因だった」「家事も含めた頻繁な手洗い」「乾燥」などの声が上がりました。
手荒れしなくなった理由は「ハンドケア」「手袋着用」
「②以前は手荒れしていたが、今は手荒れしていない」と答えた人に理由を聞いたところ、最も多かったのは「ハンドケアをするようになったから」(12人)でした。
「サロンワークで手袋をするようになったから」との理由は、ヘアカラーが9人、シャンプーが6人。
その他、自由回答では「スタイリストになってシャンプー人数が減ったから」「シャンプーする機会が減ったので」「シャンプーマンでなくなったから」など、アシスタント時代は手荒れに悩んだけれどスタイリストになってからは手荒れしていないという回答が多く見られました。
手荒れしない理由は「体質」「ハンドケア」
「③手荒れしたことはない」と答えた人に理由を聞いたところ、最も多かった答えは「体質によるもの」。次いで、「思い当たる理由はない」「ハンドケアをしているから」でした。
新型コロナで3割強が手荒れ悪化
「新型コロナウイルスの発生以降、手荒れに影響はありましたか?」との問いへの答えは「①手荒れがひどくなった」が34人、「②変化はない」が65人、「③手荒れが改善した」が3人でした。
変化はないという人が最多でしたが、手洗いの回数や消毒の機会が増えていることもあり、手荒れが悪化した人が3割を超えています。
①~③それぞれの回答をした人にその理由を聞きました。
手荒れ悪化の理由 8割が「手洗い」「消毒」
「新型コロナの発生以降、手荒れがひどくなった」という人(34人)の8割以上が、その理由として「手洗いの回数が増えたから」、「アルコールなどで手を消毒する消毒の機会が増えたから」と答えています。
その他は「乾燥と加齢」でした。
変化なしの理由 4割強が「十分なハンドケア」
「新型コロナの発生以降も、手荒れに変化はない」と答えた人(65人)の理由で、最多は「消毒や手洗いは増えたが、ハンドケアを十分行っているから」(28人)で、4割強を占めました。
また「低刺激や高保湿のものを使っているから」という人も、消毒剤が14人、ハンドソープが9人でした。
一方、「消毒や手洗いは、手荒れには影響しないから」という人も19人と3割弱に上りました。
その他の回答は「薬を使っているから」「施術を控えているから」でした。
手荒れ改善の理由 「十分なハンドケア」
「新型コロナの発生以降、手荒れが改善した」という人もわずかながら3人いました。
理由は「消毒や手洗いは増えたが、ハンドケアを十分行うようになったから」(1人)で、その他として「暇になったから」との回答がありました。
美容師さんのハンドケアは「ハンドクリーム」「手袋」
「どのようなハンドケアを行っていますか?」との問いに対する答えは、「ハンドクリームなどで保湿ケアをしている」(82人)が最多で約8割を占めました。
次いで「サロンワークでヘアカラーを塗布する際は、手袋をしている」(63人)、「サロンワークでシャンプーをする際は、手袋をしている」(27人)。シャンプーをする際に手袋をする人は、ヘアカラーの半分以下でした。
それでも、シャンプーの際に手袋をするという人が全体の3割近くいることは、5~6年前には考えにくく、働く環境が変化してきていることを感じます。
また、その他として「入浴時によく温める」「クリームの後キューティクルオイルを手の甲まで塗っている」「ステロイドを使っている」「薬を使っている」「高機能還元水を使っている」「外出時には手袋をする」「お湯はなるべく使わない」「 ヘアカラーやパーマはしていない」などの回答が寄せられました。
ハンドケアに協力的なサロンが多数
仕事による手荒れは、労働環境や経営者の考え方が影響するため、アンケートの最後の設問で「あなたのサロンはハンドケアに協力的ですか?」と聞きました。
最多の回答は「協力的(シャンプーやヘアカラーをする際の手袋をサロンで用意している)」で64人で全体の6割強を占めました。
次いで「協力的(施術の合間にハンドケアができる)」(44人)、「協力的(自己負担だが手袋をした施術を認めている)」(25人)と続き、協力的なサロンが圧倒的多数という結果になりました。
なお、その他として「分からない」との回答があったほか、「会社が治療費を出してくれる、手袋についても前向き」「あかぎれに貼れるようにケアリーヴをお店で用意している」など手厚い対応をしているサロンもあるようです。
自由回答のメッセージ
最後に、アンケートの設問が終わった後の自由回答欄に寄せられたメッセージをご紹介します。
〇ハンドケアはそれぞれのスタッフの肌質に合わせて用意している。
〇自分自身が美容師になってすぐに手荒れでどこの病院でもみてもらえないほどひどくなり離職しましたが、また今は戻り自営でやってますがシャンプーとカットのみですが現在も手荒れしてます。
〇ハンドケアは大事ですよね。
〇良いハンドケア商材があれば使いたい。
〇本当、いいハンドクリームを探してる。
〇ベタつき過ぎず、でも保湿力のあるハンドクリームのおすすめがあれば商品情報を知りたいです。
〇サッと馴染んですぐに手袋がはめれるクリームがあったらいいなぁと思う。
〇以前勤務していた美容室で、美容室でしか、取り扱えない化粧品メーカーのハンドクリームがとても良かった。今はそこを退職してしまってそのクリームが使えてない。残念。
〇個人的に原因はドライヤーだと思ってます。
〇体質ももちろんあると思うので仕方がない。
〇アレルギーの出やすい小麦粉や卵を食べ過ぎないようにしているので少し改善してきている。
アンケートにご回答いただいた皆さま、お忙しい中、ご協力いただきまして誠にありがとうございました。プレゼントの抽選・発送は1月に行います。楽しみにお待ちくださいませ。
ビュートピア編集部