一般社団法人 日本美容サロン協議会(JABS)は2020年5月18日、西村康稔新型コロナウイルス感染症対策担当大臣へ「新型コロナウィルス感染症の影響により経営状況が悪化している美容室への支援に関する要望書」を提出した。
多店舗展開をしている法人サロンを中心とした23団体の協力を得て、従業員数にして7万人を超える団体の声として要望書にしたもの。
美容業界の声を行政に
JABSは2017年7月に設立された、業界の中では新しい団体。
設立時より、美容業界の声を行政に届けるロビー活動を重視しており、昨年からは「美容サロン議員勉強会」として、衆議院議員のうえの賢一郎氏を会長、小倉將信氏を事務局長とする勉強会を継続的に開催している。
今回は、うえの議員とともにJABSの岩田卓郎副理事長(エアーエンターテイメント社長)らが内閣府を訪問し、西村大臣に直接、要望書を提出した。
西村大臣には「美容サロンの現状と、多店舗・従業員数を考慮した美容サロンの支援のあり方について要望をお伝えした」という。
要望事項
要望書では「美容室には、従業員数名程度の小規模店舗から複合(ネイル・エステ等)・複数店舗経営の事業者まで、様々な業態が存在していることを踏まえたきめ細かい政策」を求めた。
特に「複数店舗を経営している事業者おいては、多数の従業員の雇用を維持するという社会的責任を負っており、雇用維持につながる政策の拡充を」と強調。
具体的には「雇用維持に必要な政策」「事業継続に必要な政策」について要望した。
雇用維持に必要な政策
〇雇用調整助成金の拡充
・一日上限(8,330円/日)の引き上げ
・休業手当ではなく、給与額面での算出
・手続きの簡素化と速やかな給付
〇みなし失業制度活用の実現
・コロナウイルス感染症を激甚災害としての指定
〇持続化給付金
・店舗の規模、従業員数を考慮した給付額上限の引き上げ
・現金支給の速やかな給付
事業継続に必要な政策
〇政府系金融機関による支援の拡充
・融資枠の月商を基準にした拡充
・資本性ローンの資金使途の拡大
・速やかな融資の実行
〇家賃補助の創設
・政府系金融機関からの融資状況に関わらず、収入減を条件とした補助の実施
・店舗数、従業員数を考慮した補助上限の引き上げ
・家賃の3分の2以上の助成
〇税・社会保障の減免あるいは免除
〇従業員数に応じた感染予防対策費用の支援
〇新型コロナウイルスが収束した後、大規模な振興策の実施
美容室は巨大産業。風評被害で甚大な影響
要望書では、美容室が経営の危機に置かれていることを強く訴えている。
緊急事態宣言が発出される際、美容室は休業要請の対象となるか否かで国民の注目を集め、その結果、濃厚接触の可能性がある業種として広く国民に認識されたことを指摘。
休業要請の対象にはならなかったが「自主的な休業を選択する美容室も多く、また開業している美容室においても風評被害に悩まされ、経営に甚大な影響が出ている」と現状を訴えた。
さらに「美容室は全国に25万店程度、従業美容師数は52万人程度と巨大産業であり、地域経済においても大きな役割を果たしており、美容メーカー、ディーラーという裾野の広いサプライチェーンも同時に要している」と、産業としての重要性を強調。
また「美容師法は公衆衛生の向上に資することを目的にしたものであることから、公衆衛生という側面からも国民にとってなくてはならない産業である」ことを改めて伝えている。
要望書に賛同した23団体
今回の要望書には、23に上る団体が賛同。加盟事業社2351社、店舗数7897店舗、スタッフ数7万6564名に上る。
賛同団体は以下の通り。
一般社団法人アジアビューティアカデミー
NPO 法人ウッディチキン
SPC GLOBAL
一般社団法人NEA 日本まつげエクステ協会
M’S コネクション
ジャパンビューティアソシエーション
スピリットロード
dupa 美容協同組合
トレハロースの会
一般社団法人日本アイリスト協会
NPO 法人日本ビューティ・コーディネーター協会
一般社団法人日本まつげエクステメーカー連合会
一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構
POWERS GROUP 関西経営者グループ
PP会
一般社団法人美容未来研究会
一般社団法人プログレス
千葉県経営者グループ ヘブニーの会
一般社団法人御堂筋ビューティコレクション
一般社団法人ユナイテッド・ダンクス・インターナショナル
一般社団法人理美容道甲子園
ローカルサミット(コロナショックから理美容室を救う有志の会)
幹事:一般社団法人日本美容サロン協議会
なお、日本美容サロン協議会の公式LINE「LINE@BIYO」では、感染対策のガイドライン、動画配信、アンケートなどを実施している。
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