調査会社のインテージは、新型コロナウイルスによる行動自粛要請下での店舗・施設やサービスの「利用状況」や、生活者が「求めること」、生活者が考える「コロナ以前の利用状況に戻るきっかけ」などの調査を実施した。
この調査は、緊急事態宣言が全国へ拡大されてから1週間後の4月24~27日に行ったもの。全国の15~79歳の男女823人の回答を、日本の人口構成比や居住エリアに合わせてウェイトバック集計している。
「理美容室の利用が減った人」は約4割
「利用減った」人 ●「外食」6割 ●「ショッピングモール/ホームセンター」「国内旅行」「映画館」「理容店/美容院/ヘアサロン」約4割 ●「鉄道」「百貨店」約3割 |
生活者の暮らしの変化について、交通機関や、店舗・施設、サービスなど39の項目を調査した結果、「利用が減った」と最も多くの人が回答したのは「外食」で64%だった。
次いで、「ショッピングモール/ホームセンター」「国内旅行」「映画館」「理容店/美容院/ヘアサロン」が約4割。「鉄道」「百貨店」はそれぞれ約3割の回答があった。
多くの人が集まる場所や人との距離が近くなるサービスなど、生活者の3密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避ける意識がうかがえる。
生活者の安心には「消毒」「情報開示」「距離の確保」
旅行やレジャー施設・交通関連サービスに対して求めること ●「消毒」 ● 感染防止取り組みをはじめ、スタッフの感染状況、目的地・施設の混雑状況の「情報開示」 ●「利用客どうしの距離の確保」 が3~4割の回答を集めた上位ニーズ |
旅行やレジャー施設・交通関連サービスに対して求めることについては、「交通機関や各種施設の消毒」が44%と最も多かった。
次いで「新型コロナウイルスの感染防止のために取り組んでいる事を情報開示する」が37%、「交通機関で移動時の隣の人との間隔を空けた着席」が36%。
「施設での食事が個室でできる」「添乗員や各種施設スタッフに感染者がいないことを情報開示する」「旅先・お出かけ先や、各種施設の混雑状況を情報開示する」についても3割を超えた。
理美容室に対しての回答ではないが、同様の対策と情報発信を行うことが、生活者の安心につながりそうだ。
利用再開は「緊急事態宣言の解除」が3割
それでは、どのような状況になったら生活者はサービス利用を再開するのか。
利用が減ったサービスについて「どのような状況になれば以前と同じように利用しようと思うか」の回答は、次の通り。
●「鉄道」「外食」「家電量販店」「スポーツジム」「理美容」など 緊急事態宣言の解除によって利用が戻る人が3割以上。生活圏内においては解除されれば、いち早く普段の行動が戻り始める。
●「タクシー」「高速バス」「旅行」「劇場・ライブハウス」「テーマパーク」「スポーツ観戦」など |
「鉄道(近郊)」「外食」「コンビニエンスストア」「スーパー」「百貨店」「ショッピングモール/ホームセンター」「家電量販店」「公園/運動場」「スポーツジム」「理容室/美容院/ヘアサロン」については、3割以上が「自宅要請が解除される頃」もしくは「解除後ある程度経った頃」と回答。
この結果から、鉄道やショッピング、外食、理美容などの生活圏内におけるサービスでは、緊急事態制限解除によって、いち早く普段の利用が戻ってくることが予想される。
一方、利用者が戻ってくるのに時間がかかりそうなサービスは何か。
「終息の見通しが立った頃」もしくは「それよりも後に利用が戻る」という回答をみると、「タクシー」「高速バス(遠距離)」「国内旅行」「海外旅行」「劇場/ライブハウス」「テーマパーク/遊園地」「カラオケボックス」「ホテル・旅館」「スポーツ観戦施設」で7割以上の回答だった。
長時間滞在するサービスと、少し離れた街へのお出かけ、遠くへの旅行への生活者の警戒心はまだ高と考えられる。
インテージの分析では、理美容はいち早く利用が戻る業種となっているが
「自粛要請が緩和・解除される頃」2割強
「自粛要請が解除されて、ある程度経った頃」2割弱
「新型コロナウイルスの流行終息の見通しが立った頃」1割強
「新型コロナウイルスの流行終息の見通しが立った頃~それ以降」4割
「自身の気持ちや必要度に応じて行動する」1割弱
のため、他の業種よりも客の戻りが早そうだとはいえ、楽観はできない。
また、この調査では、理美容室を生活圏内のサービスと位置づけているが、実際は、生活圏内の地域密着型サロンと、遠方の顧客中心のブランドサロンがある。
サロンの立地や顧客層によって、顧客の減少率、利用再開の時期に差が出ることになりそうだ。