新型コロナウイルス感染拡大下でサロンの判断は? 通常営業19.6%、制限営業58.2%、完全休業22.2%

経営・業界動向
新型コロナウイルス感染拡大下でサロンの判断は? 通常営業19.6%、制限営業58.2%、完全休業22.2%

新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、美容室は休業要請の対象にならず、厳しい経営判断が求められています。

ビュートピアでは、2020年4月11日(土)~15日(水)の5日間、「【緊急アンケート】新型コロナウイルスで美容室を休業しますか?営業を継続しますか?」を実施しました。

短期間のアンケートだったにもかかわらず、567件ものご回答をいただいたこと、感謝申し上げます。以下、結果を発表します。

回答者属性/従業員のいる経営者が7割

最初に、今回の回答者属性をまとめます。

①美容室経営において、あなたの立場に近いものを教えてください

アンケート回答者属性

回答者567人の内訳は、次の通りです。

・「法人サロンの経営者」 237人(41.8%)
・「法人サロンの店長 」28人(4.9%) 
・「従業員(法人サロン・個人事業主サロン)」 32人(5.6%) 
・「個人事業主(従業員がいる) 」172人(30.3%) 
・「個人事業主(従業員はいない) 」77人(13.6%)
・「個人事業主(業務委託契約) 」14人(2.5%) 
・「個人事業主(フリーランス美容師)」 6人(1.1%) 
・「その他 」1人(0.2%)※法人サロン役職者。該当カテゴリーがある場合は適宜振り分け

法人サロンの経営者、個人事業主(従業員がいる)を合わせた〝従業員のいる経営者〟が7割に上ります。

サロン規模/中規模サロンが半数、小規模サロンが4割弱

②あなたのサロンのセット面の数を教えてください(複数サロン経営の場合は平均値)

サロン規模

回答者のサロン規模は、セット面の数で問いました。

・「小規模サロン(4面以下)」 211件(37.2%) 
・「中規模サロン(5~11面) 」286件(50.4%) 
・「大規模サロン(12面以上) 」70件(12.3%)

5~11面の中規模サロンが5割、4面以下の小規模サロンが4割弱を占めます。

サロン所在地/東京・大阪近郊と福岡の回答多数

③サロンの所在地を教えてください

回答者属性(都道府県)

サロンの所在地は、最も多い東京が170件で全体の30.0%でした。

東京近郊で回答数の多い千葉70件、神奈川49件、埼玉37件の4都県合計で57.5%を占めます。

大阪42件と兵庫18件、京都9件、奈良5件の4府県合計は13.1%。福岡27件は4.8%。

このアンケートは4月11日(土)~15日(水)に実施しており、人口だけでなく、緊急事態宣言が全国に拡大される前だったことも影響していると思われます。

休業か営業継続か/休業22.2%、営業77.8%

④新型コロナウイルスの影響で、店舗を休業していますか? 営業を継続していますか?(複数回答)

新型コロナウイルス拡大下の美容室の休業・営業アンケート結果

このアンケートの趣旨である「新型コロナウイルスの影響で店舗を休業するか、営業を継続するか」(複数回答)については、次の通りです。

・「通常通り、営業を継続している」 146件(25.7%)
・「時間を短縮して営業している」 240件(42.3%) 
・「出勤するスタッフを減らして営業している」 160件(28.2%) 
・「お客様の数を絞って営業している」 175件(30.9%) 
・「営業しているが、休業を検討している」 140件(24.7%) 
・「土日のみ休業している」 6件(1.1%) 
・「平日も土日も休業している」 131件(23.1%) 
・「その他」 25件(4.4%)

 全体の4割のサロンが時短営業を実施。

出勤スタッフの数を減らしたり、お客さまの予約が重ならないようにしたりと、密集を避ける対応策をとるサロンもそれぞれ約3割に上ります。

また、およそ4分の1のサロンが、現在は営業していても休業を検討していることがわかりました。

なお、設問がわかりにくかったため、「通常通り、営業を継続している」の回答者には、従来と変更なく営業しているサロンだけでなく、スタッフやお客さまの数など制限をしているサロンも含まれています。また、「平日も土日も休業している」には、完全休業のサロンだけでなく、従来の定休日(平日)に加えて土日も休んでいるというサロンも含まれます。

そこで、他の質問への回答や自由回答から精査し、「その他」回答についても振り分けを行った結果、次のようになりました。

・「通常通り営業継続」111件(19.6%)
・「(営業時間や客数などを)制限して営業」330件(58.2%)
・「完全休業」126件(22.2%)

新型コロナウイルス拡大下の美容室の休業・営業アンケート結果

通常営業と制限営業を合わせた「営業サロン」が77.8%、「休業サロン」が22.2%という結果になりました。

以下、「通常営業サロン」「制限営業サロン」「完全休業サロン」それぞれの理由と対策を見ていきます。

完全休業サロン/休業期間、最多は4月末まで

④-1 【休業中】の方にお聞きします。いつまで休業の予定ですか?

休業している美容室の休業期間・営業再開の時期

完全休業サロン126件の内訳は、次の通り。

・4月末頃まで 61件(48.4%) 
・5月6日頃まで 39件(31.0%) 
・5月半ば頃まで 0件(0.0%) 
・5月末まで 0件 (0.0%) 
・期限未定 17件(13.5%) 
・その他 6件 (4.8%) 
・無回答 3件 (2.4%) 

4月末までとするサロンが最も多く、半数近くに上ります。

また、緊急事態宣言の期間である連休明け、5月6日とするサロンも3割を超えました。

「その他」回答は「4月半ばまで」「4/13〜4/20」「4/22まで 」「4/24 まで」「1週間くらい」「13日から営業再開」など、いずれも4月中でした。

完全休業サロン/休業理由は「スタッフ・お客さまの安全」

④-2 【休業した】または【休業する予定】で、決定権を持っている方にお聞きします。理由は何ですか? (複数回答)

休業している美容室の「休業を決めた理由」

完全休業サロンの休業理由は、次の通り。

・「緊急事態宣言の該当エリアのため」 60件(47.6%)
・「スタッフの安全のため」 108件(85.7%)
・「お客さまの安全のため」 107件(84.9%)
・「サロンのイメージ・ブランディングのため」 44件(34.9%)
・「クラスター発生による経営リスクを避けるため」 82件(65.1%)
・「売上が下がっており、休業して経費を削減し手当をもらう方がよいため」 22件(17.5%)
・「その他」 4件(3.2%)
・「無回答」 5件(4.0%)

スタッフ、お客さまの安全のためという回答がそれぞれ8割を超えました。

次いで、クラスター発生への懸念が6割強、緊急事態宣言の該当エリアであることが5割弱でした。

「その他」回答

完全休業サロンの「その他」回答は、次の通り。

・人類の大きな問題に対して、店を閉めることにより移動する人間の数を減らし、医療崩壊を防ぐため
・人との接触を減らすことへの協力
・今後の成長政策のため
・一日でも早く終息を願う

制限営業サロン/制限実施期間、最多は4月末まで

④-1 【休業中】の方にお聞きします。いつまで休業の予定ですか?

制限営業をしている美容室の自粛期間

「制限営業サロン」(330件)からも一部、休業日を増やしているサロンなどから、休業期間について回答がありました。

・「4月末頃まで」 28件(8.5%)
・「5月6日頃まで」 15件(4.5%)
・「5月半ば頃まで」 5件(1.5%)
・「5月末まで」 3件(0.9%)
・「期限未定」 12件(3.6%)
・「その他」 8件(2.4%)
・「無回答」 259件(78.5%)

「その他」回答は「2週間程度の間、月、火、水、木休み」などでした。

制限営業サロン/制限理由は「安全」と「リスクヘッジ」

④-2 【休業した】または【休業する予定】で、決定権を持っている方にお聞きします。理由は何ですか? (複数回答)

制限営業している美容室の自粛理由

休業する理由についても、制限営業サロンの半数から回答がありました。

・「緊急事態宣言の該当エリアのため」 71件(21.5%)
・「スタッフの安全のため」 138件(41.8%)
・「お客さまの安全のため」 126件(38.2%)
・「サロンのイメージ・ブランディングのため」 51件(15.5%)
・「クラスター発生による経営リスクを避けるため」 113件(34.2%)
・「売上が下がっており、休業して経費を削減し手当をもらう方がよいため」 80件(24.2%)
・「その他」 8件(2.4%)
・「未回答」 158件(47.9%)

スタッフ・お客さまの安全のためという理由がそれぞれ約4割。

クラスター発生へのリスクヘッジとするサロンも3割を超えています。

「その他」回答

なお、制限営業サロンが休業を検討する、その他の理由として、以下の回答がありました。

・感染拡大防止のため
・近くでクラスターが発生したため
・財源の確保が出来れば検討
・命優先
・お客さまも私達も命のために
・日本全体で足並みを揃えた方がいいのではないかと思うため
・世の中の動きを見るため
・来店が無さそうなので

制限営業サロン/営業継続は「スタッフへの給与」と「倒産リスク」

④-3 【休業しない】方で、決定権を持っている方にお聞きします。理由は何ですか? (複数回答)

時短や人数制限をして美容室が営業を続ける理由

制限営業サロンが、営業時間の短縮や人数制限を行いながらも営業を続ける理由は、次の通り。

・「緊急事態宣言の該当エリアではないため」 51件(15.5%)
・「衛生面に十分配慮しているため」 106件(32.1%)
・「休業したらスタッフの給与を払えなくなるため」 118件(35.8%)
・「休業したら倒産する恐れがあるため」 113件(34.2%)
・「その他」 28件(8.5%)
・「無回答」 126件(38.2%)

「スタッフへの給与が払えなくなる」という理由が最も多く、制限営業サロンの35.8%に当たります。

倒産リスク、衛生面に十分配慮しているという回答もそれぞれ3割を超えました。

多岐にわたる「その他」回答

制限営業サロンが営業を継続する理由の「その他」には、さまざまな視点からの回答が寄せられました。

◆要望に応える
・お客さまの要望に応えるため(5件)
・髪を綺麗にしたい方を元気にするため
・洗髪困難のお客さまなど、いらっしゃるから
・自分でシャンプーができない、髪を整えないと気持ちが沈むなど、美容室が休業することで困る人がいるため
・それでも来たいと言ってくださるお客様には応えたいのと、運転資金を借入するのに激減しているデータをとるため
・生活に必要な仕事と認めていただき、使命だと思っている
・衛生管理のプロ、そして、必要な国民サービスの提供者としての責務を全うするため

◆休業要請がない
・休業要請が出なかったため
・床面積が100平方メートル以下のため
・該当エリアじゃないのに休業して、給付金目当てで休んでいるとお客さまに思われたくないから

◆経済的な理由
・キャッシュフローの関係
・長期戦に向けて少しでも資金を確保しておくため
・売り上げが欲しいから

◆立地・サロン内の理由
・市内のエリアの美容室が休業していないのもあり休みにくい
・スタッフの希望
・地域性、スタイリストの意見
・やりたいというスタッフだけで営業、完全任意
・こういうピンチの時ほど、不安と共に成長し、衛生管理、健康の理念共有しやすいため。今後のチーム強化のため。リーダーシップを見せるのに

◆リスク
・収束が見えなく不安なため
・今後、更なる悪化も想定され、営業再開できる時期が不明確なため
・再開する基準を明確に示すことができない
・もっと感染者が増えたら休業するが、今から休業だと長すぎる
・サバイブのため
・この状態は薬ができるまで続くので体力があって1年間休業するならわかるが、結局1ヶ月やそこら休んだところで状況は変わってなくて(収束するのがベストだが)1ヶ月後の方がもっとひどい状態になっていたら店開けれますか?仮に開けたとしてその時の方がスタッフの反発や閉めていたぶんお客さんが集中して密集率上がるんじゃないかなと思います

通常営業サロン/営業継続理由は「倒産の恐れ」

④-3 【休業しない】方で、決定権を持っている方にお聞きします。理由は何ですか? (複数回答)

美容室が営業を続ける理由

「通常営業サロン」(111件)が営業を続ける理由は、次の通り。

・「緊急事態宣言の該当エリアではないため」 40件(36.0%)
・「衛生面に十分配慮しているため」 43件(38.7%)
・「休業したらスタッフの給与を払えなくなるため」 34件(30.6%)
・「休業したら倒産する恐れがあるため」 48件(43.2%)
・「その他」 7件(6.3%)
・「無回答」 25件(22.5%)

倒産する恐れがあると答えた人が最も多く、4割を超えました。

次いで多かったのは、衛生面に十分配慮しているというもので、4割弱に上ります。

「その他」回答

通常通り、営業を継続しているサロンの「その他」回答は、次の通り。

・来店したいというお客さまのため
・こんな状況でも来店して下さるお客さまがいるから。休業したらそのお客さまも他の店に流れてしまうかもしれない
・スタッフの流出の恐れがあるため
・要請があれば休業したい。現状では開けざるを得ない
・完全予約制でこちらから予約キャンセルすると苦情対応が大変だから。実際にお客様からのキャンセルはありません。売上補償もないため
・予約時間を離している
・どうしたらいいかわからない

通常営業サロン/2割弱が休業も検討

④-2 【休業した】または【休業する予定】で、決定権を持っている方にお聞きします。理由は何ですか? (複数回答)

通常営業している美容室が休業を検討する理由

なお、通常営業サロンの2割近くから、休業を検討する理由の回答がありました。

質問④で「営業しているが休業を検討している」と回答した13人と、具体的に検討しているわけではないが考えているという8人の合計で、母数は小さいですが、次の通りです。

・「緊急事態宣言の該当エリアのため」 6件(5.4%)
・「スタッフの安全のため」 16件(14.4%)
・「お客さまの安全のため」 18件(16.2%)
・「サロンのイメージ・ブランディングのため」 7件(6.3%)
・「クラスター発生による経営リスクを避けるため」 15件(13.5%)
・「売上が下がっており、休業して経費を削減し手当をもらう方がよいため」 6件(5.4%)
・「その他」 1件(0.9%)
・「無回答」 90件(81.1%)

「その他」回答は「自分の健康、命のため」でした。


以上、第1弾の集計結果をお届けしました。

実は、このアンケートは、最後に「ご意見・ご要望、いま不安に思われていることなど、ご自由にお書きください」という欄を設けました。

通常、自由回答欄は空白がほとんどです。しかし、今回のアンケートでは、この自由回答に126件、全体の22.2%もの人による声が集まりました。

これは大変に異例なことです。この自由回答に寄せられた声、地区別・規模別の結果などについては、後日、改めて記事にいたします。

アンケートへの多大なご協力、誠にありがとうございました。

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