弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。
第59回は商標を取り上げます。
美容専門学校で美容師法の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!
こんにちは!弁護士の松本隆です。
この連載では「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りしています。
事例から見てみましょう。
私は「HAIR SALON 3・2・1・ゼロ」というちょっと変わった名前のヘアサロンを経営する美容師のXです。
最近、SNSでバズって人気が出たのですが、うちのお店の名前をマネしたようなサロンが近くにオープンしました。
何か法的にそのお店に主張できることはありますか?
美容室はサービス業なので「お店の名前=ブランド力」になりやすい業界です。
今回のXさんの相談内容のように、SNSや口コミで人気が出たときに「似た名前の美容室」や「ロゴだけちょっと変えたサロン」が現れることも少なくありません。
スタッフが独立して似た名前で開業するトラブルもあります。
商標とは「自分のお店の商品やサービスを他と区別するためのマーク」です。
店名、ロゴ、キャッチコピー、パッケージのデザインなども商標に含まれます。
美容室の場合、店名(例:「HAIR SALON 3・2・1・ゼロ」)やロゴマーク、英語表記やカタカナ表記なども対象になります。
商標登録をすることで、これらを無断使用されるのを法的に防ぐことができます。
1. 商標登録を検討する
店名やロゴを商標として登録すれば、第三者による無断使用を法的に防げます。
弁理士さんや弁護士さんに相談して何を登録するかを検討しましょう。
2. 登録にかかる費用・期間(目安)
・費用:出願料+登録料=5万円~10万円程度(※弁理士に依頼する場合は別途報酬)
・期間:申請から登録まで6~10カ月程度
3. 登録のポイント
・ロゴがある場合は「図形商標」として登録します。
・店名が英語・カタカナ表記両方ある場合は、両方での登録を検討しましょう。
・商標では「区分」というものがあります。「どの業界・商品・サービスの名前を守るか」ということです。美容室の店名を商標登録するなら「区分」は「第44類(美容サービス)」での登録になります。
・「できるだけたくさんの区分で取った方がいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、区分が増えれば増えるほど費用がかかるので、そういうわけにもいかないので注意しましょう。
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