
トランプ大統領が急速に進めようとしているウクライナ停戦。
紆余曲折がありながらも、また新たな進展が起きています。
今回の「週刊タイパニュース」では、ウクライナ情勢について引き続き解説します。
ウクライナ停戦を巡って情勢が二転三転
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
前回はアメリカとウクライナの間でプーチン大統領に対する認識などを巡って溝が生じていることについて解説しました。
そこから、情勢は二転三転しながら、各国はまた停戦に向けて歩みを進めています。
この間には一体何があったのでしょうか。
軍事支援停止を受けてウクライナが停戦合意
アメリカのトランプ大統領と口論になってしまったウクライナのゼレンスキー大統領ですが、その後に怒ったトランプ氏がウクライナに対する軍事支援を一時的に停止しました。
これまで欧米の支援を受けてロシアと戦ってきたウクライナとしては、支援停止は死活問題となるため、そこからアメリカの停戦案を受け入れていく方針を明確化。
一方、停戦後のウクライナ安全保障について、トランプ氏は「プーチンは信頼できる」としてあまり興味を示さなかったわけですが、一方でヨーロッパ各国が平和維持軍を結成して防衛する意思を示したため、ウクライナとしても停戦を受け入れやすい状況になってきています。
停戦に慎重なロシアの思惑とは?
そうなると、次はアメリカの停戦案を受け入れるか、ロシアにボールが回ってくるわけですが、プーチン大統領は慎重な姿勢を示しました。
その背景には、ロシアがウクライナに侵攻する中で、東南部4州を制圧、併合したのに対して、ウクライナもロシア西部のクルスク州の一部を掌握しているという戦況があります。
お互いに侵攻地域がある状態だと、ウクライナも領土という外交カードがあるため、その後の交渉によっては支配地域を手放さなければならなくなるかもしれない。
ただ、クルスク州は間もなく奪還できるというロシア軍の見通しもあり、相手のカードを減らすため、急速な停戦に待ったをかけているのです。

停戦の行方によっては国際秩序の崩壊も
その結果、ロシアはアメリカの全面停戦案は受け入れず、まずは「エネルギー関連施設への攻撃停止」のみを受け入れることにしました。
トランプ大統領の機嫌を損ねないよう、停戦への前向きな姿勢を建前としては示していますが、本音としてはクルスク州を奪還するまで遅滞戦術を取ろうとしている向きがあります。
ロシアの思惑通りに情勢が進んだ場合、ウクライナの東南部がロシアによって併合されたままになる可能性があり、軍事力による現状変更を認めてしまう、国際秩序が崩壊してしまう事態が懸念されます。
そのため、ウクライナ停戦の行方は世界各国が注目しているのです。
次回はまた別のニュースについて解説します!
ぜひ、お楽しみに!

宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)
