
現在、国会では石破首相が新人議員に10万円分の商品券を配っていたことが問題になっています。
この問題の本質は一体何なのか。
今回の「週刊タイパニュース」では、この商品券問題について解説します。
「お土産」に商品券?
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
みなさんは会食のお土産に商品券を貰ったことはありますでしょうか。
友達との会食であれば、旅行先で買ったお菓子とかを貰うことはあるかもしれません。
ただ、商品券、それも10万円分もお土産で貰うなんてことは考えにくいですよね。
しかし、そういったことが石破首相と新人議員との間で行われていたことが明らかになりました。
新人議員に10万円分もの商品券を配る
具体的に見ていきましょう。
石破首相は3月3日、総理大臣が住むところである首相公邸で、昨年の衆院選で当選した自民党の新人議員15人と会食しました。
このように、首相が国会議員と公邸で会食するということは一般的によくある話です。
しかし、その会食の前に、石破首相の事務所の秘書から、各新人議員の事務所に「お土産」として商品券10万円分が議員個人宛てに配布されました。
一部の新人議員は、首相から金券を貰うのは良くないとして後日返却したのですが、それが朝日新聞のスクープで公になったのです。(報道後にほかの新人議員も商品券を返却)
法律に抵触する恐れがある!
これがなぜ問題なのか。政治資金規正法という法律に抵触する可能性があるためです。
政治資金規正法では、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く)」とされています。
つまり、政治団体ではなく、政治家個人に金銭等を渡すのは禁止されているのです。
なお、この金銭等には商品券などの有価証券も含まれます。
なぜ、このような仕組みがあるかというと、政治団体は貰ったお金や使ったお金について収支報告書という記録をつけて公開することが義務付けられているので、透明性が確保されるとして寄付が認められています。
ただ、政治家個人は収支の記録も公開も義務付けられていない。
そのため、個人にお金を渡したら何に使うか分からないので、寄付が禁止されているのです。

お土産なら寄付にあたらない?
石破首相は「お土産代わりに私費で用意したもので、寄附にはあたらない」と弁明していますが、ポケットマネーで用意しようが、基本的に政治家個人に金銭等を渡してはいけません。
渡した側の勝手な認識で「寄附じゃない」という風に言い逃れできてしまうならば、政治資金規正法はザル法となり、全く意味がないものとなります。
また、物価高で国民生活が苦しくなっているのに対して、首相が新人議員に10万円をポンと渡していることへの怒りの声も問題を大きくしています。
そして、この商品券問題を巡っては、自民党の文化だったとの指摘や、官房機密費を使った疑惑まで出てきました。
次回は商品券問題について、さらに解説します!
ぜひ、お楽しみに!

宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)
