【サロン六法】51.知っておきたい、損害保険のこと

特集・インタビュー
【サロン六法】51.知っておきたい、損害保険のこと

弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。

第51回は損害保険を取り上げます。

美容専門学校で美容師法の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!

「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく!」

松本隆弁護士( 横浜二幸法律事務所)

こんにちは!弁護士の松本隆です。

この連載では「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りしています。

事例から見てみましょう。

私はXサロンの経営者でAといいます。従業員の美容師Bが施術中にお客様の耳に傷をつけたため、お客様からお金を請求されていて、困っています。

お客様は、「耳からの出血が多く、治療に時間がかかりそうだ。仕事にも行けない」とおっしゃっています。

仕事を休むのが妥当かもわかりませんし、そもそもこうやってお客様に怪我をさせてしまった場合、どう対応したらいいのかわかりません。

どうしたらいいのでしょうか? 

損害保険の法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

ご存知ですか?生命保険と損害保険の違い

美容業界に限らず、経営者の方とお話するときに「保険や税金のことに詳しくない方が意外と多い」ことに驚きます。

みなさんは生命保険と損害保険の違いをパッと言えますか?

生命保険は、死亡したとき(+重度の病気になったとき)にお金がもらえる保険です。

法学部の教授が「自分はもらえないけれど、100%もらえる博打みたいなものですね」と言っていたことを今でも思い出します。

独身のときには必要ないかもしれませんが、結婚したら残された家族のために加入は必須ですね。

損害保険は、人に怪我をさせた、物を壊したときに、その損害を賠償するための保険です。

損害保険に入って毎月保険料を払っていれば、大きな損害が出たとしても保険会社が払ってくれるので、とても助かります。

弁護士は、交通事故、漏水事故、施術中の事故、介護中の事故、施設での転倒事故、工事中の事故など、ありとあらゆる事故を扱いますが、「保険に入っていなかったら危なかったですね!」というケースをたくさん見ています。

「損害保険に入らない=超危険!」ですので、今日は損害保険について知っていただこうと思います。

損害保険の法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

施術中の事故は意外と多い!?

今回のような施術中にお客様の耳をケガさせてしまう事故は、しょっちゅうあるわけではありませんが、意外と起きるものです。

損害保険は、サロンの経営者1人1人が数百円の保険料を払っておけば、そうした事故を起こしたサロンが出てしまったときに、被害者の方に保険金が出る仕組みになっています。

ちなみに、怪我をした場合に払うお金は何があるでしょうか?

まず、考えられるのは以下の4つです。

①治療費

②通院交通費

③休業損害

④慰謝料

①②はそのままですから、③④を説明したいと思います!

「仕事を休むな」とは言いにくい…

休業損害は、文字通り、仕事を休んだことにより発生した損害です。

③休業損害となると、例えば、日給1万円の人が怪我で15日仕事を休んだら15万円になってしまいます。

加害者側としては「え?仕事は休まないで下さいよ!」「一体いつまで休むんですか!」とは言いづらいので、たくさん休んだ被害者の方に言い値を払うこともないわけではありません。

損害保険の法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

>> 慰謝料は通院した日数で決まってくる?

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