④慰謝料は精神的苦痛のことを言います。
日本はアメリカに比べて安いと言われますが、払う側からすると意外と高いと感じると思います。
“赤い本”という交通事故で裁判所が使う本(日弁連交通事故センター東京支部発行「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」)があるのですが、ここに参考となる基準が載っています(赤本基準といいます)。
赤本基準では、1カ月の通院で「19万円」、2カ月の通院で「36万円」(※具体的ケースにより異なることがあります)などと決まっています。
つまり、③休業損害と④慰謝料を合わせたら数十万になることなんてザラなのです。
例えば、怪我で被害者の方が2カ月通院して15日仕事を休んだら、慰謝料は36万円、休業損害が15万円なので、合計51万円になってしまいます。
他にも①治療費や②交通費もありますから、なんだかんだで60万円くらいになってしまいます。
これを自腹で払うのって大変ですよね…
怪我ではさらに「後遺症」が残ることがあります。
後遺症の等級は先ほどの赤い本が参考になりますが、1級から14級があります。
例えば、顔に10円玉くらいの傷跡や長さ3センチの線状痕(線の傷)が残ったら、「12級」です。
ヘアサロンでも美容サロンでも起きそうですよね。
あとは、ヘアサロンの床が滑りやすくなっていて、お客様が転倒して大怪我をしてしまったら「14級」か「12級」になる可能性があります。
これも起きそうですよね…
後遺症になった場合は、③休業損害と④慰謝料以外に、⑤後遺症の慰謝料と⑥後遺症で仕事のパワーが落ちた分(逸失利益)の請求ができます。
⑤後遺症の慰謝料は、14級だと110万円、12級だと290万円です(赤い本の基準)。
た、高い…!
⑥後遺症で仕事のパワーが落ちた分(逸失利益)は、級によって違います。
例えば、12級なら
「年収×14%×10年」で計算します。
年収400万円の場合、
400万円×14%×8.53(10年のライプニッツ係数)=477万6800円
になります。
つまり、12級だと、⑤後遺症の慰謝料と⑥逸失利益を足すと800万円くらいになってしまうということです。
これに③休業損害と④慰謝料を足すと1000万円が見えてきますね…
損害保険の保険料を毎月550円を払っておけば、1000万円の損害が発生しても大丈夫です。
サロン専用なら、ビューティガレージ会員限定の「みんなのサロンほけん」(事業活動総合保険)というものがあります。
「カラーリングでお客様の洋服を汚してしまった」「サービスのドリンクをこぼしてしまった」という小さな事故はもちろん、「お客様をケガさせてしまった」「漏水で下の階のお店に損害が出た」という場合、「パソコンが不正アクセスされて顧客情報が流出した」という場合でも保険会社が代わりに損害賠償をしてくれます。
ちなみに、「弁護士費用特約」というプランを追加していただければ、なんと「弁護士費用もタダ」になります!
保険料も安いので、オプションとして入っておくとお得です!
(現場の弁護士が言うので間違いありません)
「うちは損害保険に何も入ってないよ!」という方はすぐにご加入下さい。
損害保険だけはしっかり入っておいて損はありません。
節約できるものはしていいですが、サロン経営をする上では損害保険は「節約してはいけないもの」です。
ビューティガレージ会員限定の「みんなのサロンほけん」(事業活動総合保険)、是非ともご加入下さい!(ビューティガレージさんから広告依頼をされているわけではありません)
さて、次回もよろしくお願いします!
松本 隆
弁護士/横浜二幸法律事務所・パートナー
早稲田大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(神奈川県弁護士会)。企業に寄り添う弁護士として労働問題を多く扱っており、交通事故や相続にも精通している。また、美容師養成専門学校において「美容師法」の講義を担当しており、美容業界にも身を置いている。社交ダンスの経験も豊富であり、メイクやヘアスタイルにも詳しい。2021年にはメンズ美容のモニターとして100日間チャレンジを行うなど、メンズ美容の重要性も説いている。「髪も肌もボディもケアさえちゃんとすればアンチエイジングは必ずできる」というのがモットー。
横浜二幸法律事務所
▽公式サイト=http://y-niko.jp/
▽TEL=045-651-5115
監修・執筆・イラスト/松本隆(弁護士)
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