ホットペッパービューティーアカデミーでは、「男女の美容意識」「美容全般にかける金額」「コスメ購買にかける金額」などの調査結果を毎年12月に発表しています。
今回は12月12日に発表した「美容センサス2024年下期<美容意識・購買行動編>」から、男女の美容にかけるお金とコスメ購買行動について解説します。
文・作表 田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
美容(サロン商品やモノ消費)に使う1カ月あたりの金額は男女ともに上昇しています。特に女性は前年から470円増え、例年以上の伸び幅となっています。
近年の物価高の影響が色濃く反映されましたが、他にも美容サロンでの高単価メニュー(例えば、美容室におけるハイトーンカラーや髪質改善トリートメント)の利用増加による影響も考えられます。
ホットペッパービューティーアカデミーでは、「家計調査」(総務省)における「理美容サービス」および「理美容用品」が家計に占める割合を「美容消費係数」として3カ月ごとに発表しています。
美容消費係数も増加傾向にあり、消費者が美容投資を重視している様子がうかがえます。
メイクアイテムの購入率(メイクアイテムを1年に1点以上購入した比率)は、女性が76.6%と前年からほぼ横ばいではあるものの、購入率は2022年から継続して上昇傾向にあります。
男性は12.3%で、前年差1.3ポイント増。男女いずれもここ4年で購入率は最も高いです。
年代別に1年以内のメイクアイテムの購入率を見てみましょう。
女性で前年から最も増加したのは60代女性です。60代女性は、コロナ禍中に他の年代よりもメイクアイテムの購入率が大きく落ち込みました。
この影響もあり、2023年以降に前年からの増加幅が大きくなっています。コロナ禍での外出を、他の年代以上に慎重に制限していたからかもしれません。
男性で前年から最も増加したのは20代です。前年から5.7ポイント増加し25.9%になりました。20代の4人に1人以上がメイクアイテムを購入しており、利用者の裾野の広がりがうかがえます。
また、男性の15~19歳、20代、30代が他の年代に比べて前年からの増加幅が大きいことが分かります。中でも15~19歳および20代では2割を超えており、30代も約16%に達しています。
マーケティングでは、商品やサービスの普及率16%のラインにあるとされている溝のことを示す「キャズム」を超えることが市場での普及の目安とされており、今後さらに広がることが期待されます。
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