続いて、アイテム別の購入率を見てみましょう。
女性は上位8位まで、ほぼすべてのアイテムにおいて前年よりも購入率が上昇しました。特に「口紅・グロス」は3年連続で増加し42.8%に。
前年からの増加幅が2022年(前年差1.8ポイント増)、2023年(同5.0ポイント増)、2024年(同6.1ポイント増)と年々大きくなっています。
「口紅・グロス」の購入率が、コロナ禍の制限緩和とともに急激に回復している背景には、マスクを着用する機会が大幅に減り、外出機会が増えたことや、韓流アイドルブームも影響していると考えられます。
物価高の影響があっても化粧品の購入自体が増えていることから、美容を重視する意識は根強いことがうかがえます。
男性は上位8位までのアイテム別購入率は、前年からすべて増加。
特に「下地」(6.7%→8.0%)や「ファンデーション」(6.7%→7.9%)、「マスカラ」(5.1%→6.4%)の購入率が増加しており、肌をきれいに見せることや目元に対する関心が高まっています。
5位「アイブロウ(眉マスカラを含む)」と6位「アイシャドウ」がランクインしていることから、ベースメイクの次に目元の美容への関心の高さがうかがえます。
最後に「お金や時間を使いたい部位」を見ていきましょう。
女性はここ3年で上位3位までの順位は変わらず、美容投資したい部位は安定的であることがうかがえます。
2025年も、髪や肌に対する美容サービスや商品への投資は継続するでしょう。
男性も上位2位までの順位はここ3年で変更なく、1位「体臭・口臭」、2位「髪型」をキープしています。一方、2023年まで5位だった「髪の量」が2024年には3位にランクアップしています。
男性の美容意識の高まりにともない、より周囲への見え方を気にする人が増えて、薄毛対策への商品購入や、専門クリニックへの来院意欲が高まるかもしれません。
また、理美容室においても、「ボリュームアップして見える髪型」などへのニーズは高まるでしょう。
髪の量は、自分から悩みを相談しづらく、またサロンでも「こちらから言ってもいいものか?」と悩む方も多いかと思います。
サロン内にPOPや関連商品をさりげなく置いておくだけでも、悩みのある男性のお客さまの背中を押すアプローチとしては有効ではないでしょうか。
■ データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
>> 「美容センサス2024年下期≪美容意識・購買行動編≫」
■調査期間
2024年8月
■調査対象
全国の人口20万人以上の都市に居住する15~69歳の男女各6,600人
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。
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