【サロン六法】42.クリスマス特集!恋愛にまつわる法律知識あれこれ

特集・インタビュー
【サロン六法】42.クリスマス特集!恋愛にまつわる法律知識あれこれ

弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。

第42回はクリスマス特集として、恋愛にまつわる法律知識を取り上げます。

美容専門学校で美容師法の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!

「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく!」

松本隆弁護士( 横浜二幸法律事務所)

こんにちは!弁護士の松本隆です。

この連載では「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りしています。

さっそく、1つ目の事例を見ていきましょう。

私はXサロンの経営者ですが、今回はサロンに関係のない相談です。

今の恋人とおつきあいをして今年で2年になります。

いつも恋人からプレゼントをねだられるのですが、あまりにも高くて最近少し困っています。

今回のクリスマスプレゼントは某ブランドのバッグで、結構な値段です…。

あまり考えたくはないことではあるのですが、別れた場合、今までにあげたプレゼントって返してもらえるのでしょうか?

クリスマスといえばプレゼント!

クリスマスの季節といえば、サンタクロース。サンタさんといえば「プレゼント」ですね。

プレゼントは法律的には「贈与(ぞうよ)」です。

民法549条以下に規定されています。

「別れたんだから恋人にあげたものを取り返したい!」というご相談は結構多いです。

そのたびにご紹介するのが「民法550条」です。

民法550条(書面によらない贈与の解除)

書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

つまり、民法550条は

・「書類を作らないでものをあげるときは、やっぱやめた(解除)と言えるよ」(1文目)

・「ただし、あげ終わったものは返せとはいえないよ」(2文目)

と言っています。

例えば、

・Xさんが恋人に「クリスマスにバッグをあげるよ!」という口約束(書面によらない贈与)をしても、バッグをあげる前なら「やっぱやめた」(解除)といえる。

・でも、クリスマスになってXさんがバッグを恋人にあげてしまったら、その後に別れても返せとはいえない。

ということです。

そんなわけで事例1のXさんへの回答は、

「別れた場合、今までにあげたプレゼントは返してもらえない」

となります。

プレゼントをあげるときは返してもらおうと思わないということが大事ですね!

クリスマス特集、恋愛にまつわる法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

2つ目の事例も見ていきましょう。

私はXサロンの経営者です。

 今、同棲している恋人とはおつきあいをして今年で5年になります。

お互いの両親とも会っていて関係も良好ということもあり、クリスマスにプロポーズをするつもりでした。

しかし、クリスマス直前に恋人の浮気が発覚してしまいました。

結婚している場合は慰謝料を請求できると思いますが、プロポーズ直前の場合、慰謝料請求はできるのでしょうか?

クリスマスといえばプロポーズ!

クリスマスの季節といえば、恋愛が盛り上がるシーン。「プロポーズ」をする人もそれなりにいると思います。

しかし、今回の質問は「プロポーズ直前に浮気が発覚してしまった」というもの。

みなさんは「入籍する前だから、夫婦の浮気みたいな慰謝料請求はできない」と思いがちではないでしょうか。

答えは「プロポーズ前でもケースによっては慰謝料請求できることがある」です。

「婚約=指輪を渡した」というわけではない!

実際に婚約してなくても法律上は「婚約」であると評価されることがあるのです。

法律上、婚約といえるかは、裁判官は、

①つきあった期間

②同棲しているかどうか

③両親の紹介の有無

④結婚式場の下見の有無

⑤指輪を渡しているか

などの事実を「総合的に判断」するのです。

今回の事例ですと、

①つきあった期間は「5年」と比較的長期なので、婚約に+の事情です。

「同棲している」ことも婚約に+の事情です。

「両親の紹介をしていて関係がよい」というのも婚約に+の事情ですね。

④結婚式場の下見はしていないので、この点は婚約に-の事情でしょう。

指輪はまだ渡してはいないものの「クリスマス前にすでに購入していた」ということであれば婚約に-とは言い切れず、+の事情になるかもしれません。

つまり、今回の事例では、裁判で「婚約が成立していた」と評価されて、浮気した場合に不貞行為の慰謝料請求が認められる可能性もそれなりにあると思われます(※あくまでケースによります)。

今回知っていただきたいのは「指輪を渡した日から婚約というわけではない」ということです。

クリスマス特集、恋愛にまつわる法律知識。弁護士が解説する連載「サロン六法」、美容室の法律。

さいごに

今回はクリスマスということで恋愛にまつわる法律知識をご紹介しました。

最近は「ヘアサロン六法」を見て相談がしたい、記事を書いてほしいという問い合わせをいただており、今年ビュートピアさんでたくさん記事を出せていただいたおかげで、美容業界に詳しい弁護士の存在を知ってもらえてきたようでとても嬉しいです。

大晦日も記事を出しますので、お楽しみに!

松本隆弁護士( 横浜二幸法律事務所)

松本 隆

弁護士/横浜二幸法律事務所・パートナー

早稲田大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(神奈川県弁護士会)。企業に寄り添う弁護士として労働問題を多く扱っており、交通事故や相続にも精通している。また、美容師養成専門学校において「美容師法」の講義を担当しており、美容業界にも身を置いている。社交ダンスの経験も豊富であり、メイクやヘアスタイルにも詳しい。2021年にはメンズ美容のモニターとして100日間チャレンジを行うなど、メンズ美容の重要性も説いている。「髪も肌もボディもケアさえちゃんとすればアンチエイジングは必ずできる」というのがモットー。

横浜二幸法律事務所
▽公式サイト=http://y-niko.jp/
▽TEL=045-651-5115

監修・執筆・イラスト/松本隆(弁護士)

ヘアケアEXPO(2025年)の告知。第3回は2025年1月15日(水)16(木)17(金)に東京ビッグサイトで開催
AD(ヘアケアEXPO)

関連キーワード

注目キーワード

新着記事一覧   トップページ  
Top