韓国大統領が暴走!?その背景とは? 宮原健太の週刊タイパニュース(58)

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韓国大統領が暴走!?その背景とは? 宮原健太の週刊タイパニュース(58)

韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が内乱罪で捜査を受ける前代未聞の事態になっています。

その背景には、大統領が急に出した非常戒厳宣言がありました。

今回の「週刊タイパニュース」では、揺れ動く韓国政治について解説します。

韓国政治が異常事態に

こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

韓国の政治が大変なことになっています。

尹錫悦大統領が戦時中などに出す非常戒厳をいきなり宣言し、軍隊を国会に集めて政治活動を禁止しようと画策。

結局、その企ては失敗に終わり、今度は大統領が内乱罪で捜査を受ける事態に陥っています。

一体なぜこんなことになってしまったのでしょうか。

背景には今年の韓国総選挙

今回の騒動が起こった背景には、今年4月に行われた韓国の総選挙があります。

韓国の国会は一院制で、定数が300人なのですが、選挙によって野党勢力が過半数を大きく上回る192議席となり、一方で大統領を支える与党勢力はたったの108議席となりました。

尹政権は、経済を直撃している物価高や、大統領夫人である金建希(キム・ゴンヒ)氏が知人から高級バッグを受け取った汚職疑惑のほか、親日的な態度が「弱腰外交」と批判され支持を失ったものと見られます。

尹大統領が親日的であることは「日韓関係と韓国の政治勢力」でも触れました。

日本にとって尹大統領は非常に国益にかなう大統領なのですが、韓国国内からの評判は良くなかったようです。

苦しい政権運営の中で暴走!

さて、このように韓国議会で与党が劣勢となるなか、尹政権は苦しい政権運営を強いられていました。

野党の反対で予算案がなかなか通らず、多数の政府高官が弾劾訴追され、行政機能が麻痺。

そのため、尹大統領は戦時中などに出す「非常戒厳」を宣言して、権力を自身に集中させようとしたのです。

この非常戒厳は、国会での政治活動を禁止し、メディアの情報を統制するという強い効果を持っています。

宣言を受けて、政府が指揮する軍が主要な国会議員を捕まえ、政治機能を停止しようとしたのですが、その前に議会に集まった議員らが非常戒厳の解除を求める議決をしたため、6時間で事態は収束しました。

こうして、尹大統領の画策は失敗に終わったのです。

与党大敗から大統領が暴走し、現在は捜査を受ける事態に陥っている

逆に大統領が捜査される状況に

その後、今度は尹大統領が内乱罪で捜査される状況になっています。

そもそも、非常戒厳は先に述べたように戦時などの非常事態に出されるもので、国会における与野党対立で政権運営が上手くいかなくなったことを理由に発令するのは憲法違反になると指摘されています。

野党は尹大統領の罷免や処罰を求める弾劾訴追案を国会に提出しましたが、これを可決するには200人以上の賛成が必要で、与党の反対によりギリギリ廃案となりました。

ただ、あまりに異常な行動をしてしまった尹大統領への批判は高まっており、すでに大統領としての権限を失うような状況になっています。

次回は大統領失脚で日韓関係がどうなるかについて解説します。

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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