韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が可決されてしまいました。
大統領の権限が剥奪される事態になったわけですが、日韓関係にどのような影響を及ぼすのか。
今回の「週刊タイパニュース」では、前回に引き続き韓国政治について解説します。
尹錫悦大統領の権限を剥奪
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
前回は、韓国の尹大統領が非常戒厳をいきなり出し、現在は内乱罪で捜査を受けているところまで解説しました。
その後、12月14日に二度目の弾劾訴追案が可決され、大統領としての権限が失われてしまいました。
こうした情勢が日韓関係にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
二度目の弾劾訴追案が可決されたワケ
そもそも、なぜ一度目の弾劾訴追案は不成立となったにも関わらず、二度目は可決されたのか。
一度目は「韓国大統領が暴走!?その背景とは?」で説明した通り、与党「国民の力」の反対で廃案となりました。
その後、与党は現在の政権を維持するのは困難であるとして、退陣に向けたロードマップを作ったのですが、尹大統領が弾劾や捜査に対抗する姿勢を示したため、もうかばいきれないとして与党も一部が二度目の弾劾訴追案に賛成したのです。
これからの尹大統領の行方は?
このように、弾劾訴追案が可決された尹大統領ですが、すぐに大統領を辞めるわけではありません。
現在は大統領の権限だけが停止されている状態で、これから韓国の憲法裁判所が弾劾の妥当性を判断し、それによって大統領を罷免するか否かが決まります。
罷免されなければ大統領は職務に復帰することができますが、今回の非常戒厳は憲法違反との指摘があり、厳しい判断が下されるのではないかと見られています。
政権交代で日韓関係は大きく悪化?
もし、大統領が失職すれば、次の大統領を選ぶ選挙が行われることになりますが、尹大統領を支えてきた与党への批判が高まっているので、最大野党「共に民主党」が政権を取る可能性が高くなっています。
「日韓関係と韓国の政治勢力」で解説した通り、今の野党は進歩派で日本に対して強硬的なことで知られています。
しかも、共に民主党の李在明代表はそのなかでも反日的と知られているので、政権交代が起これば、日韓関係の悪化は避けられないでしょう。
今後の韓国の動きがどうなるかは、日本にも大きな影響を与えそうです。 次回はまた別のテーマについて解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)