業界の要職も務めている老舗のローカルチェーン美容室である「うちや美容室」が破産手続きを開始した。
札幌地裁が2024年11月14日、有限会社うちや美容室(札幌市中央区、打矢憲弘社長)の自己破産について1日付で手続きを開始したと発表した。負債総額は4億8000万円。
創業90年ちかい老舗美容室
うちや美容室は1935年(昭和10年)創業の歴史ある美容室。ウラングループとして、Urun(ウラン)やUrun Plus(ウランプラス)などのサロンを展開していた。約100名のスタッフを抱える美容室が5億円ちかい負債をかかえての大型倒産となった。
コロナ禍で資金繰りが悪化した後も、2022年3月時点では直営15店舗、パートナーサロン4店舗の規模でスタッフ数は140名を数えた。しかし直近は、札幌市内に4店舗、苫小牧と北広島にそれぞれ1店舗の計6店舗に減少していた。
なお、「電気やガスなどの諸経費の高騰への対処、安定的に品質の良い薬剤を提供できるように」との理由で、2022年11月に施術料金を従来の10%値上げするなど、収益改善にも務めていた。
業界の発展に尽力
代表を務める打矢憲弘氏は、業界発展に向けた取り組みにも精力的に協力しており、日本美容サロン協会(JABS)の北海道アンバサダーを務めている。
また、ベトナム最大の美容チェーンを目指し、美容関連企業約30社が協力するジャパン ビューティ アソシエーション株式会社(仙台市青葉区、山内淳社長)の代表取締役副社長の任にも就いている。
オーバーストアによる競争の過熱、人手不足による採用難、人件費や諸経費の高騰、コロナ禍に受けたゼロゼロ融資の返済や補助金の終了など、サロン経営を取り巻く環境は厳しく、美容室や理美容ディーラーの倒産が起きている。
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