11月5日に実施されたアメリカ大統領選では共和党のドナルド・トランプ氏が勝利を収めました。
トランプ氏の政権運営は前大統領のときも賛否両論でしたが、なぜ再選を決めることができたのか。
今回の「週刊タイパニュース」では、アメリカの政治情勢について解説します。
トランプ氏が圧勝する結果に
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利し、来年の1月20日に新政権が発足することとなりました。
前評判では、民主党のカマラ・ハリス副大統領と接戦になるのではないかと見られていましたが、蓋を開けてみると、トランプ氏が激戦州全てで勝利する圧勝に。
時には物議を醸す発言をして批判されるトランプ氏ですが、なぜ再選することができたのでしょうか。
アメリカ大統領選の焦点は?
トランプ勝利を紐解くためには、アメリカ大統領選の争点をおさえる必要があります。
大統領選を巡っては内政から外交までさまざまな議論が行われましたが、その中でも注目されたのが経済政策です。
ロシアによるウクライナ侵攻以来、国際情勢が緊迫化する中で物価高やエネルギー価格高騰が発生。アメリカは日本以上の物価高に見舞われており、国民生活はどんどん困窮していきました。
また、その中で改めて注目を集めたのが移民対策です。
アメリカは年間で200万人以上の不法移民が流入し、安価な労働力として仕事を奪っていると言われています。
こうした経済や移民に対して、どのような対応を取るのかが大統領選では問われたのです。
トランプ氏が掲げた政策は?
これらの問題に対するトランプ氏の答えは単純明快でした。
不法移民が入ってこないように移民対策を強化し、関税の引き上げによって国内産業を保護。そして、減税などによって国民の生活を支えるという、アメリカ第一主義を掲げたのです。
この主張は前に大統領を務めていたときから掲げている「MAGA(=Make America Great Again)」と同じですが、バイデン政権が十分な対応を取れないなか、トランプ氏に票が集まったと言えるでしょう。
ハリス氏に支持が集まらなかった理由
一方でハリス氏も対抗するように移民対策強化を掲げていましたが、そもそもバイデン政権では副大統領として移民政策担当をしていたため、これまでに対応できていない事への批判のほうが上回ってしまいました。
また、ハリス氏は移民が生じる根本原因を解決しようと、中米の生活状況を改善するために多額の資金援助もおこないました。
中米を発展させることで移民自体が生じないようにするというのは崇高な考え方ではありますが、アメリカ国民からすると「自分たちのためにお金を使って欲しい」というところもあり、また結局、移民の数は減少しなかったことから、不満がたまっていってしまったのです。
このような内容がトランプ氏勝利の礎になったと言えるでしょう。
次回は大統領選を左右した激戦州について解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
▽YouTube=https://www.youtube.com/@bunyaarata
▽X=https://twitter.com/bunyaarata
▽note=https://note.com/bunyaarata
■ あわせて読みたい
編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)