2020年11月に24歳で「AI TOKYO(アイ トーキョー)」を立ち上げ、28歳にして9店舗を経営する鎌形諒さん。
フランチャイズ(FC)とはひと味ちがうブランドシェアをスタートし、2027年12月までに直営30店舗、ブランドシェア50店舗の合計80店舗を目指しています。
最速スピードの多店舗展開を資金繰りの面で支えるのが「店舗まるごとリース」。このサービスを運営するBGパートナーズの樺島義明社長と、今後の計画と組織づくりを語っていただきました。
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資金もない、物件もない、でも大きくスタート
―― 1号店は、メンズ特化の美容室を渋谷に出店されました。
鎌形 30坪ぐらいの広さで、セット面が15席にシャンプー台が4台。従業員9人でのスタートです。
―― セット面15席は大型店です。それを24歳で!
鎌形 新卒で入ったOCEAN TOKYOでは、先輩がこれくらいの規模で独立していったので、自分にとってもこれが前提でした。
―― 大型店を出すために貯金もかなり溜めていらしたのですか?
鎌形 それがあまりなくて。1号店からBGパートナーズを利用させていただいています。
樺島 この時は居抜き物件をご紹介しました。
鎌形 いろいろ大変だったんですよ。融資の審査が通らず、物件も落ちてしまって。資金もない、物件もないという状態でした。でも、人はもう雇っているし、オープン日も決まっている。どうしよう・・・という時だったので「これしかない」と思って居抜きで始めました。
―― 初期費用は美容師さんが独立する際の高いハードルですね。
鎌形 店舗の場合、10カ月分ぐらいの敷金を退去時まで大家さんに預けなければいけないんです。預金みたいに利子がつくわけでもなく、退去までただ手元から大金が消えるわけです。だから当時はかなり悩みました。運転資金もまったくなくて、初月の売上が少なくて「このままじゃつぶれる」というときもありましたからね。
―― 2店舗目を出したのはいつでしたか?
鎌形 1年後ぐらいです。本当は半年後ぐらいに出したかったのですが、それは難しかった。最初は店を出せるだけ出して上場しようくらいのザックリしたイメージでした。その後、ちゃんとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を決めて、僕らが成し遂げたいことについての事業計画を立てたら、目標が定まりました。
―― そして今では9店舗に。出店エリアも東京、横浜、名古屋、福岡へと広がりました。初期費用を抑える「店舗まるごとリース」を活用されているそうですね。
鎌形 3店舗目から「店舗まるごとリース」を利用しています。すごく柔軟でめちゃくちゃ助かります。物件取得や内装など出店にはいろいろお金がかかりますが、こちらの都合で費用を分割してもらえるんです。
樺島 お客さまのニーズは千差万別でタイミングによっても異なりますので、それに合わせて対応しています。
鎌形 たとえば、開店の費用が2000万円かかるとき、融資が1000万円しか受けられずに1000万円足りなかったとすると、内装工事費の700万円だけ分割して資金を支払ってもらえるんです。残りの300万円だけ持ち出しにすればいい。こちらが足りないところに手を貸してくれるイメージです。
鎌形 マジでめちゃくちゃいいと思います! 1店舗目の内装は自分たちで手作りしたのでお金がかからなかったのですが、そこからさらに居抜き物件の取得費用も分割にしてもらったので、最初の出費を大きく抑えられました。
樺島 「店舗まるごとリース」ってよく誤解されるんですけど、初期費用全額を「まるごと」リースで組まなければならないわけではありません。もちろん「まるごと」も可能なんですが、お客さまの手持ち資金の状況や融資の計画に合わせて、例えば内装費用部分のみ部分的にご利用いただくことも可能です。
目標は「2027年末までに80店舗」
―― ここまでも十分にスピード出店ですが、ここから飛躍的に店舗数を伸ばす計画だとか。
鎌形 2027年の終わりまでに、全国に80店舗を出店します!
―― 約3年で全国に80店舗!とても大きな目標ですが、具体的には?
鎌形 直営30店舗、ブランドシェア50店舗、あわせて80店舗の計画です。僕たちが考えているブランドシェアとは、通常のフランチャイズとは違い、集客を始めとする経営は僕たちで行い、マネジメントや採用などの運営は子会社のオーナーが行うというものです。
樺島 直営店で働きながら同時に自分の会社を持てるという仕組みなんですよね?
鎌形 そうです。いきなりオーナー業だけだと経営がうまくいかないと大変ですが、ブランドシェアなら直営店で働いて給与をもらいながら経営を始められます。
――どうしてそのような形を考えたのでしょう?
鎌形 僕は経営者を育てたいと思っているんです。ちゃんとした経営者になるためには、ただの店長の延長ではなく、段階を踏んでマネジメントを学んでもらわないといけません。なぜならマネジメントが一番重要だと思っているからです。1人1店舗から始まって、最終的に5店舗ぐらい任せたい。1店舗5、6人として1人で30人ほどマネジメントすることになるわけです。
鎌形さんが考える「経営者の条件」
―― どんな人がブランドシェアの経営者にふさわしいとお考えですか?
鎌形 1つ目の条件は人を集められるかどうか。集客ではなくて求人のことです。1店舗につき、スタイリスト3人、アシスタント2人を集める必要があります。2つ目はマネジメントができるかどうか。目標を自分でこなすのではなく、スタッフを通じて達成してほしい。3つ目は年商3億を目指せるかどうか。年商3億に達するには5店舗をマネジメントする必要があります。つまり、成功するつもりがあるかどうかですね。
樺島 具体的な条件や目標を提示し、それに向かってがんばっていた先に、サロンの未来があるんだと思います。
―― 「AI TOKYO」では、経営者になりたい方をどのようにサポートされるのでしょう?
鎌形 マネジメントについては、リーダー研修を受けていただきます。経営のサポートについては、集客対応は「AI TOKYO」の成功ノウハウを伝えていきます。ネットサイトの告知などもAIを駆使して自動化した集客システムがあり、新規のお客さまが150人来たら絶対に50人はリピートしていただけるような施策をゴリゴリ作っているので、そのシステムをそのまま提供していきます。
―― 若いリーダーの率いる新しいサロンという感じですね。サロンビジネスにおいて、大事なものを3つ挙げるとすると何になりますか?
鎌形 求人・教育・集客ですね。この3つが要です。どんなビジネスもそうだと思います。あとは、これをいかに自動化するか。最強のシステムを作って、僕がいなくても勝手に成長し続ける状態を作りたい。3年かけてやっと完成したので、これから2027年の目標に向かって進んでいきます。ここからウナギ登りですよ。
―― これだけの店舗数となると必要な資金もケタ違いです。「店舗まるごとリース」を活用していくのでしょうか?
鎌形 基本的には銀行から融資を受けたいところですが、事業展開が早すぎると銀行融資がついてこれないんです。そうした際に「店舗まるごとリース」から出店資金のサポートを受けることになります。データがあって、人も集めて、絶対にいけると踏んで出店する計画を立てるのですが、銀行からは半年に1回しかお金を借りられないルールがあるんですよ。取引のある銀行はいくつかありますが、それでも間に合わないことがあるので、そういうときは助けていただきます。
樺島 ビジネスが上手くいっていても、出店のスピードがつきすぎて、銀行から融資が受けられないことがあります。そういう場合、私どものほうでサポートさせていただきます。上手く使ってください、という感じですね。