日本化粧品工業会(粧工会、JCIA)は、国際競争力の強化とサステナビリティの推進に注力している。
2024年9月24日、東京・虎ノ門の粧工会会議室で化粧品関係業界専門紙と懇談会を開き、国際委員会とサステナビリティ推進委員会の活動内容を紹介した。
「コアな価値を国内外へ」(魚谷会長)
粧工会は約1400社が加盟する国内最大の化粧品関連団体。東京、中部、西日本の3つの化粧品工業会がひとつになり、2023年4月1日に発足した。
冒頭あいさつに立った魚谷雅彦会長(資生堂代表執行役会長CEO)は「2019年以降、厳しい状況にあった化粧品市場だが、ようやく穏やかな回復基調にある。本格的な回復に向けては、コアな価値を国内外に発信することが必要だ」と述べた。
変化する中国と欧州の規制
国際競争力の重要性は、7月の定時総会で魚谷会長が「粧工会ビジョン2030の一番重要なポイントであり方針として掲げているのが、国際的な競争力の強化」と述べた通り。
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グローバルに活動するうえで対応せざるを得ないのが各国の規制だ。国際委員会の桑原裕史委員長(カネボウ化粧品DX戦略デザインセンター長)が、中国と欧州の規制とその考え方について解説した。
また、「規制は経済的負担に直結する。日本固有の規制や技術資産をふかんするタイミングとなってきている」と指摘した。
今後も国際会議などでの発信を強化するとともに、世界の動きに遅れを取らないよう国内外の行政との連携を強化していく。
会員全社でサステナビリティ推進
サステナビリティ推進委員会の活動については、川田貴史委員長(花王品質保証部門安全管理センター長)が説明。
「約1400の加盟社は企業規模が大小様々で、活動に当てられる人員や理解にも差がある。その上で誰一人取り残すことなく進めるため『サステナビリティ指針』とその解説編をつくった」と話した。
「化粧品の容器包装に関する環境配慮設計指針」や「サステナビリティ取組事例集」についても、主要企業だけの取り組みにならないようインクルーシブネス(包摂性)を意識して作成したという。
公式サイトなどで成果を積極的に公開することでトランスパレンシー(透明性)を担保し、活動の認知を高め信頼を獲得していく。
その後の質疑応答では、韓国の国をあげた取り組みとの比較や容器削減量の詳細など、質問が相次いだ。
最後に、山本順二専務執行理事が業界各紙へ一層の協力を呼びかけて閉会した。
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取材・文・撮影/大徳明子