さまざまな不祥事が明らかになり大問題となっている兵庫県の斎藤元彦知事。
告発者に対して追い詰めるような対応をしていたことも追及されています。
今回の「週刊タイパニュース」では、この兵庫県知事の問題について解説します。
連日全国ニュースの大問題に
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
県職員へのパワハラや視察先へのおねだり疑惑などが噴出している兵庫県の斎藤元彦知事。
兵庫県政の話ですが、連日全国ニュースになるほどの大きな問題になってしまっています。
なぜ、ここまでの事態になってしまったのでしょうか。
全ては内部告発から始まった
そもそも、斎藤知事の様々な問題が明らかになったのは、今年3月に行われた内部告発がきっかけでした。
報道機関や県議会議員に送られた告発文書では、斎藤知事が県職員にパワハラを繰り返していることや、視察先の企業などにおねだりして様々な物品を受け取っていたことを暴露。
一方で知事は告発内容を「嘘八百」と完全否定して、告発した県職員を捜し出し、その人を懲戒処分にするなどしました。
その結果、告発者は今年の7月7日に自殺。「死をもって抗議する」というメッセージが残されていたことも明らかになっています。
県議会の調査で事実が明らかに
斎藤知事が否定したこれらの疑惑ですが、県による内部調査では納得できない県議会が、不祥事などを追及する百条委員会というものを立ち上げました。
(百条委員会は地方自治法第100条に基づいて設置される委員会で、関係者の出頭や証拠の提出を求める強い権限を持ちます)
その調査の中で県職員に対して行われたアンケートの中間報告では、なんとパワハラについては1750人もの職員が見聞きしたと答え、おねだり疑惑についてもカニやカキをもらうなど数多くの証言が出てきています。
そのため、告発を「嘘八百」と否定した知事こそが嘘をついていたのではないかという問題になっているのです。
違法性が問われる告発者への対応
さらに、問題視されているのが告発者に対する対応です。
日本には公益通報者保護法という法律があり、行政機関や企業などで行われている不正行為について告発した人を守らなければならないことになっています。
告発者が弾圧されてしまっては、不祥事が明るみに出ることが抑制されてしまうためですね。
しかし、斎藤知事は告発内容に事実が含まれていたにも関わらず、嘘と断定して告発者を捜し出し、処分し、結果的には自死にまで追いやってしまっています。
これらの対応は百条委員会においても専門家から公益通報者保護法違反だと指摘されており、斎藤知事の問題をただの不祥事ではない、闇深いものにさせているのです。
さて、この斎藤知事には9月19日に県議会から不信任決議案が提出され、可決されました。
次回はこの不信任決議案と、知事の失職について解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)