働き方が変わる?「103万円の壁」の行方 宮原健太の週刊タイパニュース(54)

特集・インタビュー
働き方が変わる?「103万円の壁」の行方 宮原健太の週刊タイパニュース(54)

「103万円の壁」という言葉がニュースでよく聞かれるようになりました。

働き方に関する制度が今後は大きく変わっていくかもしれません。

今回の「週刊タイパニュース」では、最新の政治の動きについて解説します。

パート労働者の働き方が変わる?

こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

現在、政界では「103万円の壁」の引き上げが大きな焦点になっています。

美容師としてパートタイムで働いていたり、美容室を経営していてパート労働者を雇っていたりする方は、気にしながら働いている人も多いかもしれません。

この壁は一体何なのか、引き上げられると何が変わるのかを今回は説明していきます。

「103万円の壁」とは何なのか?

「103万円の壁」とは簡単に言えば、税金が増えてしまう年収を指します。

年収が103万円を超えてしまうと所得税が課されることとなり、103万円を超えた金額の5%の所得税を払わなければいけません。(2037年までは所得税額の2.1%の復興特別所得税もかかります)

さらに、まだ親に養われている身である場合には、扶養控除(一般的には38万円)から外れてしまうため、親の所得税が増えてしまうというデメリットもあります(配偶者の場合は相手の年収によって追加で配偶者特別控除がある)。

そのため、年収が103万円を超えないように調整するパート労働者もいるわけですね。

ほかにも色々ある年収の壁

年収の壁にはほかにも様々なものがあります。

まず、企業規模によって厚生年金に入らなければならない「106万円の壁」

この壁や企業規模要件は撤廃して、週20時間以上働いている人はみな加入するように義務付ける案が厚労省から出ています。

年金は将来的には返ってくるものにはなりますので、これは単なる負担増ではありませんが、手取りが減ることに懸念を持っている人もいることでしょう。

また、もう1つ注目されているのが「130万円の壁」です。

これは、配偶者などの被扶養者であっても社会保険への加入義務が発生する壁で、労働者にとって負担となることから、働き控えが生じる原因の1つになっています。

壁は引き上げられるのか?

こうした年収の壁によって働く意欲が損なわれるのは労働者にとっても経営者にとってもよくないとして、国民民主党はまずは「103万円の壁」の引き上げを政府与党に求めています。

具体的には、この壁が1995年から変わっておらず、一方で最低賃金は物価と共に上がって1.73倍となっているため、壁も178万円まで引き上げるべきと主張しています。

前回にも解説した通り、国民民主党が協力しなければ与党は法案も予算案も通せない状況となっているため、政府もこの壁の引き上げを真剣に検討し始めています。

実際に壁は引き上げられるのか、引き上げられた場合にどこまでの金額になるのか。

年末の税制改正までには結論を得なければならないため、その議論の行方が注目されています。

次回はまた別のニュースについて解説します。

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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