今月の27日に行われる予定の自民党総裁選。
次の日本の総理大臣を決める選挙であるため注目が集まっていますが、候補者が大乱立する異様な状況になっています。
今回の「週刊タイパニュース」では、自民党総裁選の乱立の背景について解説します。
総裁選は過去に例を見ない大乱立に
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
自民党総裁選に向けた動きが連日ニュースになっています。
そのなかでも注目されているのが、過去に例を見ないほど立候補者が出てくる、大乱立状況になっていることです。
なぜ、このような混戦状態になっているのでしょうか。
総裁選を巡る現状は?
理由について見ていく前に、現状について確認しましょう。
9月4日現在で若手中堅のホープ小林鷹之氏、非主流派を歩み続けてきた石破茂氏、党内で異端児とも言われる河野太郎氏、岸田首相の直系の部下である林芳正氏、幹事長を務めている茂木敏充氏がすでに記者会見で立候補を表明しています。
また、6日には知名度抜群の小泉進次郎氏、9日には保守層から人気が厚い高市早苗氏が出馬を表明する予定で、ほかに厚労大臣の経験が長い加藤勝信氏や、故・麻原彰晃元死刑囚に法務大臣として死刑執行を下した上川陽子氏も立候補の目途をつけたと報じられています。
そして、青山繫晴氏、斎藤健氏、野田聖子氏も出馬を検討しています。
これまでの自民党総裁選への立候補者は5人が最多でしたが、それを大きく超える人数が参戦する模様なわけです。
派閥解消で重鎮による制御不能に
このような状況となった背景には、派閥の解消があります。
自民党では、収支の記録をつけなければならない政治資金を報告書に記載せず、何に使ったか分からない「裏金」を億単位で作っていた、自民党裏金問題が発覚しました。
その主な舞台になっていたのが自民党の派閥で、裏金問題を受けて大半の派閥が解散を決定。
それによって、自民党内の権力闘争を牛耳っていた重鎮たちのコントロールが効かなくなり、これほど多くの候補者が名乗りをあげることになったのです。
立候補のハードルも下がった
そもそも、自民党総裁選には、国会議員であれば誰でも立候補できるわけではありません。
同じ国会議員から推薦人を20人集めなければならず、しかもその20人は名前が公開されるのです。
政治の世界は怖いもので、「過去に誰々を応援していた」ということから除け者にされて、出世の道を断たれるということも度々あります。
ただ、今回は裏金問題で失われた党勢を立て直すために活発な議論をしようという機運も高まっていると見受けられ、この推薦人になるハードルも下がっていると考えられるのです。
次回はこの総裁選の本命候補が誰なのか解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)