一般社団法人プログレス(全国美容経営協会)は「未来を創る 女性リーダーによる成長戦略」をテーマに、2024年7月2日に東京・台場のグランドニッコーで美容経営シンポジウムを開催した。
GENDA(ジェンダ)代表取締役の申真衣氏による特別講演を始め、ゲスト講演、パネルディスカッションが行われた。
時価総額1000億円企業の女性社長が特別講演
昨年7月に東証グロース市場へ上場し、2024年1月期の年商は556億円に上り、時価総額が1000億円を超えるジェンダ。急成長企業の社長を務める申真衣氏が特別講演を行った。
申氏はゴールドマン・サックス証券に新卒で入社して11年務めた後、“世界一のエンタメ企業”を目指して2018年にジェンダを共同創業した。M&Aを積極的に行い、ゲームセンター事業やカラオケ店事業などを営んでいる。
社長業の傍ら、女性誌のファッションモデルとして活躍し、2児の母でもある申氏が、自身の歩みを振り返りながら女性のキャリアについて話した。
顔ぶれ豊かなゲスト講演
特別講演に続き、それぞれキャリアの異なる3名のゲストが、女性の活躍、女性の多い職場の特色についてなど、様々な切り口で語った。
キャリアデザインラボ・岩出社長
Career Design Lab.(キャリアデザインラボ)の代表取締役で、東京経済大学では非常勤講師として教壇に立つ岩出朋子氏は「美容師とキャリアデザイン」について論じた。
自身がアルバイト、派遣社員、契約社員、正社員とさまざまな雇用形態を経験し、現在はキャリアデザイン教育に携わる岩出氏。「多くの人が、美容師さんとの対話の中で自己との対話や内省の機会を持つ。美容師さんは、一人ひとりのキャリアデザインを支える重要な存在」だと話した。
ミルボン・藤原執行役員
新卒でミルボンに入社し、現在はオーガニック事業部執行役員を務める藤原弘枝氏は、女性の海外赴任がもの珍しく見られた20年以上前、2003年に単身韓国へ。現地法人ミルボンコリアを設立し、代表理事に就任した。
「自分の思考が変われば見える景色・世界が変わってくる」「困難や逆境は自分自身を成長させるために仕組まれた人生の1ページに過ぎなかった」と、海外駐在15年間の苦難と克服の経緯を赤裸々に語った。
マハロ・松井社長
約150人の社員が全員女性だというMahalo(マハロ)。代表取締役を務める松井裕香氏は「女性の成長戦略と可能性を引き出すマネジメント」と題して講演した。
主体性・やりがいと共感・リーダーシップの3つの視点で、女性を対象としたマネジメントで配慮すべきポイントなどをアドバイスした。
美容室の女性社長4名と吉原会長が討議
シンポジウムの最後は、アルテ ジェネシスの吉原直樹会長CEOをファシリテーターに、プログレスのメンバーである美容室の女性社長4名でパネルディスカッションを行った。
吉原会長は女性の社会進出の重要性を説き、「女性が活躍できるように社会構造を変えないかぎり、日本の未来はない」と警鐘を鳴らした。
続いて、TJ天気予報の大前陽子社長、ゆう社の安部あゆみ社長、スタイルの浅井真美社長、ドゥコーポレーションの阿部弘枝社長が登壇。
「男性・女性経営者の目線の違い」「時代変化で感じる仕事における性差」「次世代の女性に向けたメッセージ」の3つのテーマで意見を交わした。
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取材・文/大徳明子 撮影/布施景