愛知、岐阜、三重、富山に約30店舗のサロンを展開するTJ天気予報の大前陽子社長。
一般社団法人プログレス(全国美容経営協会)が「未来を創る 女性リーダーによる成長戦略」をテーマに開催した美容経営シンポジウムのパネルディスカッションに登壇し、女性目線でビジネスを分析する重要性について語った。
2024.07.26更新(2024.07.26公開)
600坪の大型サロンを展開するTJ天気予報
2024年7月2日に東京・台場のグランドニッコーで行われた美容経営シンポジウムのパネルディスカッションには、TJ天気予報の大前社長ら4名の女性社長が登壇した。
22歳でオープンした最初の店舗はわずか6坪。今ではその100倍、600坪の敷地に延床面積100坪という大型サロンを複数構える。
美容学校時代の同級生と結婚し、夫婦で店舗数を増やしていった。車で通うお客さまが多いため、駐車場も広い。郊外のロードサイドに300坪以上の敷地を確保し、学校の校舎のようなユニークな外観の店舗を展開している。
今年で創業48年、年商27億1000万円、社員数は300名に上るというローカルチェーンだ。
助け合いながら切磋琢磨できるサロンを目指して
パネルディスカッション1つ目のテーマは「男性経営者と女性経営者の目線の違い」について。
3人の子どもを育てた大前社長は「女性スタッフがこの会社で長く働けるよう、普及する前から育休制度を設けていた」と振り返る。
スタッフ300名のうち100人、3分の1が子どもを育てながら時短で勤務しているといい、女性スタッフにとって働きやすい職場だ。「全員で助け合いながら、能力を高めて充実した働き方を手に入れられるように」と願っている。
「男性経営者のようにリスクを負うことが怖いので、一歩ずつ確実に何があっても倒れない会社を作ってきたつもり」と大前社長。
ファシリテーターの吉原直樹氏(アルテ ジェネシス会長CEO)は「600坪の店舗を出店しているのだから相当な費用がかかっているはずなので、それは謙遜だ。大前社長は、財務の健全性に対して注意深く経営を進められている」とこれを受けた。
女性の感性でビジネスをもっと深く先まで読む
2つ目のテーマは「時代の変化で感じる仕事における性差」。
大前社長は「昔は、所有している店舗数で競争するような男性の経営者も少なくなかったが、これからは経営の質が求められる」と述べ、「お客さまもスタッフも女性が多いのだから、女性の感性でビジネスを深く見て、数年先まで見越すような発想が大切になる」との見方を示した。
さらに「美容業界の給与水準はほかの産業に比べて低い傾向にある。何もしなければ初任給の高い、他の産業に貴重な人材が奪われていく。美容業界の素晴らしさを伝えるチャレンジがこれからの時代の経営者に求められる」と語った。
「女性のみなさん、いよいよ出番です」
3つ目のテーマは「次世代の女性に向けたメッセージ」。
「女性の方々に『いよいよ出番です』と言いたい」と大前社長。「女性の社会進出には男性のサポートが必要になる。あたたかく応援してほしい」と呼びかけた。
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取材・文/大徳明子、岡田真麻 撮影/布施景