「未来を創る 女性リーダーによる成長戦略」をテーマとした、今年の一般社団法人プログレス(全国美容経営協会)の美容経営シンポジウム。
アルテ ジェネシスの吉原直樹会長CEOをファシリテーターに、4名の女性経営者によるパネルディスカッションが行われた。
美容室とエステティックサロン計13店舗を名古屋エリア中心に展開する、ゆう社の安部あゆみ社長は「女性自身が甘えないことが大事」と呼びかけた。
創業60周年で13店舗、社員数120名
2024年7月2日に東京・台場のグランドニッコーで開催されたシンポジウムには、800名が参加した。
パネリストを務めた安部社長は、昨年プログレスに入会したばかりのニューフェイスだが、ゆうは1964年11月の創業の老舗で今年60周年を迎える。
13店舗のサロンは東京・三軒茶屋の1店舗を除き、全て愛知にある。社員数は120名、売上高は14億円ちかくに上る。
自身の経営者としての特徴は「美容師ではないこと」と話す。元日本航空の客室乗務員で、結婚と出産を経て専業主婦となった。
創業者である実父から18年前に事業を引き継いで以来、平日は東京で家族と暮らして週末は名古屋へ向かう2拠点生活を続けている。
子育ては人生のゴールではない
パネルディスカッションの1つ目のテーマは「男性経営者と女性経営者の目線の違い」。
安倍社長は自身の経験から「妊娠や出産を控えるスタッフに『子育てはいつか必ず終わる。子育てが終わった後の人生は長い。だから仕事を簡単に捨てずに会社とつながりを持っておくことが大事』と伝えている」と述べた。
「男性だから」「女性だから」に疑問
2つ目のテーマは「時代の変化で感じる仕事における性差」。安倍社長は若いスタッフに将来の目標をたずねた際のエピソードを紹介した。
「男性アシスタントに将来の目標を聞くと、以前は『自分の店をもつこと』と答える人が多かった。ところが2〜3年前に若い男性スタッフに質問すると『結婚することです』と返ってきて、ずいぶん時代が変わったような印象を受けた」
一方、同じ店の女性アシスタントに聞くと「店をもつこと」と答えたという。
「そもそも『男性だから』『女性だから』と言われること自体に疑問を感じる。能力は、性別に関係なく発揮される」と指摘した。
本当の意味で女性が社会進出するために
3つ目のテーマは「次世代の女性に向けたメッセージ」。
安倍社長は「女性を優遇するような社会の仕組みになりつつあるが、それに甘えていては本当の意味での女性の社会進出は進まない。男性でも女性でも、がんばる人には平等にチャンスがある。自分を鍛える根性をもってほしい」と訴えた。
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取材・文/大徳明子 撮影/布施景