「働き方改革」という言葉が様々な場面で使われるようになって久しくなりました。
その波は、これから理美容業界にも押し寄せてくることになるかもしれません。
今回の「週刊タイパニュース」では、労働時間規制などの働き方改革について解説をしていきます。
働き方改革が理美容業界にも!?
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
過労が社会問題になったことを経て、日本では様々な場面で労働時間の削減などの「働き方改革」が行われるようになりました。
労働者にとって働きやすい環境が整備される一方で、雇用者側は事業を続けるために頭を悩ませている人も多いでしょう。
そして、その動きは今後、理美容業界にも広がっていくかもしれません。
今年は「2024年問題」が話題に
働き方改革に関するニュースと言えば、今年は「2024年問題」が話題になっています。
こちらはトラックドライバーなどの物流業界で働いている人たちの時間外労働の上限を年960時間に制限するというものです。
これまで長時間労働が問題視されてきたドライバーの労働環境を改善する狙いがあるわけですが、一方でこれまでと同じ物流サービスを提供することが困難になってしまいました。
そうした中、ヤマト運輸は「クロネコDM便」を終了し、日本郵便と連携して新たに「クロネコゆうメール」を運用するなどの動きも出ています。
理美容室は週44時間労働が可能だが…
このように、働き方改革は事業そのものに影響を与える場合も多くあるわけですが、それは理美容業界も例外ではありません。
現在、従業員が10人未満の理美容室は、特例的に法定労働時間が週44時間となっています。
法定労働時間の原則は1日8時間、週40時間とされていて、それを超える場合は残業代を支払わなければいけないわけですが、特例が認められていれば週44時間までは残業とならないわけです。
小規模な理美容室や飲食店などが労働者を雇うときの労働時間を増やすことで、経営を助ける狙いがあると見られています。
特例見直しの指摘も
実はこの特例が今後、見直されるかもしれないのです。
4月23日に厚労省傘下の研究会が実施した会議の資料では、この特例を使っていない事業所が多いことから「既にその役割を終えている」「一般原則を適用する方向で検討すべき」と指摘されています。
ただ、一方で「理美容業界など、業種に特徴的な労働時間の実態もある」ともされていて、まだ見直しの方向は決まっていません。
しかし、働き方改革が様々な場面で進められている昨今、週44時間を導入している理美容室は、見直された場合の経営について早めに考えておく必要があるかもしれません。
次回は、また別のニュースについて解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)