「離職していた期間」で最も多いのは「1年以上~3年未満」(30.7%)で、次に多いのが「3年以上~5年未満」(27.4%)。比較的技術のブランクが少ないほうが戻ってきやすいのかもしれません。
サロンの人材不足を解消するため、「休眠美容師を採用したい」と考えるサロンの方も多いかと思います。募集する際には「退職して3年未満」のスタッフがどういう条件だと働きやすいか?など考えながら求人条件を設定するとよいかもしれません。
「再び美容師に復職したきっかけ」の1位は、「資格を生かした仕事の方がよいと再認識したから(資格を生かして働きたいと思ったから)」(21.7%)、2位は「その仕事が好きだから」(20.4%)です。
復職したスタッフの方へお話をうかがうと、「美容が好き」「人をキレイにすることが好き」とおっしゃる方が多く、好きだからこそ、美容師として再び働く方が非常に多いと感じます。
初職の離職率も高い一方で、資格を生かした復職が少なくないのも美容業界の特徴です。「働きたいと思った人が、いつでも働ける」持続可能性の高さを業界の魅力として発信していくことが、働く人の増加につながっていくでしょう。
最後にホットペッパービューティーアカデミーで経年調査している「離職に関する基本指標」をご紹介します。前年から大きな変化はありませんが、過去5年のトレンドでは、美容師の離職率が減少傾向にあることが分かります。
1年以内の美容師離職率は、前年からほぼ横ばい(前年比0.2ポイント増加)です。
美容師離職率は48.0%(前年比1.5ポイント増加)。休眠美容師率は58.3%(前年比1.3ポイント増加)と、前年から微増しています。
美容師勤務未経験率(免許のみ保有)は、前年からほぼ横ばい(前年比0.2ポイント増加)です。
※1 1年以内の美容師離職率:直近1年間で美容師を離職した人の割合。「直近1年以内離職者」÷「美容師免許保有者かつ現在美容師+直近1年以内離職者」
※2 美容師離職率:美容師として一度就職したが離職した人の割合。「美容師免許保有者かつ美容師経験はあるが、現在美容師ではない人」÷「美容師免許保有者かつ美容師経験者」
※3 休眠美容師率:美容師免許を持っているが現在美容師として働いていない人の割合(就職経験を問わない)。「美容師免許保有者だが現在美容師ではない人」÷「美容師免許保有者」
※4 美容師勤務未経験率:美容師免許を持っているが、これまでに美容師として働いたことのない人の割合。「過去に美容師として働いた経験がない人」÷「美容師免許保有者」
■ データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
■ 調査時期
2024年1~2月
■ 調査対象
スクリーニング調査:寄稿では、美容師免許保有者かつ学校卒業後の初職が美容師5,065人のデータを使用
■ 本調査
寄稿では美容師1,135人のデータを使用
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)
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