弁護士の松本隆さんによる連載『ヘアサロン六法』。第6回は「ストーカー規制法」についてです。
美容専門学校で「美容師法」の講義を担当している松本さんが、軽妙なトークとイラストでとことんわかりやすく解説します!
目次
「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく!」
こんにちは!弁護士の松本隆です。
第6回は「それってストーカー?お客さんにLINEを教えたときのトラブル対処法」です。
お客さんにLINEを教えた結果、施術の予約以外の連絡まで来るようになって、しかも最近それがエスカレートしてきて困っている…そんなことはありませんか?
今日はストーカー規制法を知っていただき、自分の身を守るためにも「何をされたら警察に相談できるのか」、どうしたらいいのか等の対処法を身につけていただければと思います。
なお、“ヘアサロン経営者向けにわかりやすく”をモットーに、あえて内容をシンプルにしてお送りします。
ストーカー規制法のキホン①「つきまとい等」
まず、ストーカー規制法で知ってほしいのは「つきまとい等」という言葉です。
「つきまとい等」とは
ⓐ付き合いたい(=恋愛感情を満たす目的で)
ⓑフラれて復讐したい(=恋愛感情が満たされなくてうらみを晴らす目的で)
と思って、①~⑧のどれかをすることです。
・①つきまとう、待ち伏せる、住所・職場・実際にいる場所を見張る、押しかける、うろつく
・②監視していることを知らせる
・③「会って」「付き合って」等と要求する
・④すごく乱暴なことを言う
・⑤無言・連続電話をする、FAX・メール・SNS(LINE等)のメッセージ・文書を送る
・⑥汚物を送る
・⑦名誉を傷つける
・⑧性的羞恥心を害する(卑わいな画像を送る等)
ストーカー規制法のキホン②「位置情報無承諾取得」
そして、もう1つ、「位置情報無承諾取得」です。
令和3年改正で新しくプラスされたのですが、是非知ってほしいです。
「位置情報無承諾取得」とは
勝手にGPSで位置情報をゲットすること
例えば、
・持ち物(バッグ、車など)にGPSを無承諾で取り付ける
・GPSが付いたものを渡して位置情報を取得する等
例えば、サロン付近の駐車場にご自分の車を停めている方は、「車にGPSをつけられていないかチェックする」必要があるかもしれません。
※GPSの装置は「消しゴムくらいの大きさ」のものであれば、1カ月1万5000円くらいでレンタルできるんです。
ストーカー規制法のキホン③「ストーカー行為」
「つきまとい等」と「位置情報無承諾取得」はわかりましたね!
さて、ここまでくれば「ストーカー行為」が何かもわかってしまいます。
「ストーカー行為」とは、「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得」を反復する(繰り返す)ことです。
②に「反復」とありますが、どのくらい繰り返したら「反復」といえるのでしょう?
残念ながら、反復の「回数」や「程度」はストーカー規制法には載っていません。
ですので、ケースバイケースの判断になってしまいます。
メッセージの内容が深刻なものであれば、反復の回数が少なかったとしても逮捕に至るケースもあります。
過去の例になりますが、逮捕された例としては
・メール10回以上かつ電話200回以上送ったケース
・LINEのメッセージ(わいせつなボイスメッセージを含む)を5回連続で送ったケース
・X(旧Twitter)に「〇〇で見ているよ」「僕のお嫁さんだよ」「〇〇ちゃんの家ってここなんだ」等と16回書き込んだケース
などがあります。