言ってしまいそうなフレーズもありますので、気をつけましょう。
⑴ 例① 「そんなこと前例がありません」
前例があるかどうかは問題になりませんので、このような言い方は避けるべきです。
⑵ 例② 「あなただけ特別扱いはできません」
合理的配慮というのは、障害がある方が障害がない方と同じようにできるようにすることが目的ですので、特別扱いではありませんから、このような言い方は避けるべきです。
⑶ 例③ 「もし何かあったら困るのでできません」
抽象的なリスクがあっても断る理由になりませんから、このような言い方は避けるべきです。どのような具体的なリスクがあるのか、どうしたら具体的リスクを避けられるのかを検討するべきです。
冒頭の映画館の事例では、話し合いの場を持ち、映画館側は、
・安全上、スタッフが毎回階段4段を車椅子の方が上がれるようにサポートすることまではできないが、他のサポートなしで観られる車椅子専用シートがあるスクリーンでも映画を観られるようにすることを検討している
・一番大きなスクリーンがある部屋でも車椅子が入れるように改善することも検討する
ということを車椅子の方に伝えました。
映画館側は、車椅子の方が映画を観られる環境について配慮しようという姿勢が感じられて好感が持てますね。
「完璧な合理的配慮」を最初からできるはずがありません。障害のある方と事業者の方とで話し合いをした結果、はじめて合理的配慮の内容が見えてくることもあります。
ですので、事業者の方には「建設的な対話」をすることが最終的には一番重要であるということを知っておいていただければと思います。
私も少しでもわかりやすくなるよう、文章の量を少なくする、1文1文をわかりやすくする、という「合理的配慮」を日々意識しているつもりです(笑)
この記事が少しでもお役に立てばうれしいです。それでは!
松本 隆
弁護士/横浜二幸法律事務所・パートナー
早稲田大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(神奈川県弁護士会)。企業に寄り添う弁護士として労働問題を多く扱っており、交通事故や相続にも精通している。また、美容師養成専門学校において「美容師法」の講義を担当しており、美容業界にも身を置いている。社交ダンスの経験も豊富であり、メイクやヘアスタイルにも詳しい。2021年にはメンズ美容のモニターとして100日間チャレンジを行うなど、メンズ美容の重要性も説いている。「髪も肌もボディもケアさえちゃんとすればアンチエイジングは必ずできる」というのがモットー。
横浜二幸法律事務所
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