バブル期を超える史上最高値を更新した日経平均株価。前回の記事「株価がバブル超え!その背景は?」では、要因の1つに円安があることを解説しました。
では、その円安はいつまで続くことになるのでしょうか。
今回の「週刊タイパニュース」では、日本の金融政策について解説していきます。
最高値を更新した株価が急落
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
前回に解説した日経平均株価ですが、11日の終値は3万8820円49銭となり、前週末と比べて868円45銭安と大幅に下落しました。
その背景にあるものが円高です。
円安が株価を支えていることについては前回説明しましたが、今回は円高が起きたため、真逆の株の動きになったということですね。
アメリカ経済の影響で円高株安に
円高が起きた要因には、アメリカの経済状況があります。
アメリカでは物価高を抑制するため、金利を上げてお金を借りにくくし、モノを買いにくくして値段を抑えるという金融引締め政策をとってきましたが、その結果、経済活動も抑えられてしまっています。
8日に米労働局が発表した雇用統計によると、失業率が3.9%に悪化。
これを受けて、アメリカの政策金利を決めているFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げをするという観測が強まりました。
「円安とは何か?」でお伝えした通り、今の日本の円安は海外との金利差によって起きています。
アメリカが金利を下げると金利差は縮まるため、それによって円高が進み、日本の輸出産業にとってはマイナスになるとして株安が進んだわけです。
日銀の政策転換に注目が集まる
そして、今後予想されている金利差が縮まるもう1つのアプローチがあります。
それが、日本銀行による大規模金融緩和(低金利政策)からの方向転換です。
日本は金利を引き下げてお金を借りやすくすることによって経済を活性化しようとしてきたわけですが、それが現在の円安物価高を招きました。
日本銀行も未曽有の物価高の中でこのまま低金利政策を続けていくことが健全だとは思っておらず、近く政策転換をするのではないかと言われています。
投資家が見守るマイナス金利の行方
その1つで、よくニュースになるのがマイナス金利です。
いま、民間銀行は日本銀行にお金を預けていると、利子がつくどころか、逆にお金を取られてしまいます。
そうすることで、民間銀行がお金を預けるのではなく、積極的に投資に回すよう促しているわけですが、この政策をやめるかもしれないのです。
金利を少しずつ上げることで円安物価高を抑えようとしているわけですが、利上げは経済の減速の要因になりますし、円高は輸出企業にとってマイナスとなり、株価を押し下げることになりかねません。
いつ、どのタイミングで日銀が政策決定をするのかは経済に大きな影響を与えるため、世界の市場や投資家が固唾を飲んで見守っているのです。
次回は株高のもう1つの要因である生成AIブームと半導体について解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)