皆さんは、地震などで被災したときの避難生活についてイメージできますでしょうか。
災害は、発災直後が注目されがちですが、その後の避難生活は非常に長いものとなる可能性があり、その人の人生に大きな影響を与えます。
今回の「週刊タイパニュース」では、被災後の避難生活について解説していきます。
能登半島地震の特徴とは?
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
これまで、私が熊本地震などを取材した経験から、同じ地震でも起きる場所やタイミングによって、災害の様相が大きく変わることをお話ししてきました。
同じように、今年の始めに起きた能登半島地震にも大きな特徴が表れています。
その1つが避難生活です。
冬に発生したことで避難に影響
能登半島地震の特徴は大きく2つあります。
1つは石川県の中でも最奥部である奥能登で発生したため、救助や復旧が難航しているということ。
もう1つが冬に発生したということです。
冬と言えばインフルエンザが流行する季節。新型コロナウイルスも未だに猛威を振るっています。
こうした感染症の季節に災害が発生したことは、避難生活に大きな影響を与えました。
2次避難、1.5次避難とは?
避難生活というと、体育館などに人が集まって避難しているというイメージが強いかもしれません(これを1次避難、一時避難と呼びます)。
しかし、そのように人が1カ所に密集してしまうと、感染爆発が起きる可能性があります。
そのため、能登半島地震では2次避難や1.5次避難というものが積極的に行われました。
2次避難というのは政府が借り上げた旅館やホテルなどの宿泊施設に避難するというもの。
避難者それぞれが部屋に分かれて避難することから、感染爆発を防ぐことができます。
1.5次避難は1次避難と2次避難の中間のようなものです。
具体的には体育館にテントなどを並べて設置し、そこに避難者がそれぞれ入って生活するような形式。
こちらも、単に体育館に密集するよりは感染症を防ぎやすいという効果があります。
遠く離れた場所に避難する可能性も
政府がホテルや旅館などを借り上げてくれるなら、2次避難が快適で良いと思われるかもしれません。
ただ、この2次避難先は被災地から遠く離れた場所になる可能性もあります。
実際に能登半島地震でも、県内のホテルだけでは足りず、県外まで広域避難している人が多くいます。
能登半島地震では「復興か移住か」という議論が話題となりましたが、それは過疎化が進んでいる地域が被災したというだけでなく、この地震が冬に起きたため感染症対策から2次避難が推奨され、被災地を離れる被災者が多くいたということも関連しているのではないかと思います。
その後、被災地に仮設住宅などが建設されると、そちらに戻って暮らす人もいれば、県内外の公営住宅などに移り住む人も出てくるのです。
次回は、また別の話題について解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)