日経平均株価がバブル期を超えて、史上最高値を更新したということが大きな経済ニュースになりました。
しかし、身の回りの景気が良くなっているかと言うと、あまり実感がない人が多いのではないかと思います。
今回の「週刊タイパニュース」では、株価が上昇した背景について解説していきます。
日経平均株価が史上最高値に
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
日経平均株価がバブル期を超えて史上最高値を更新しました。
具体的には2月22日の終値が3万9098円となり、バブル期の1989年12月につけた最高値の3万8915円を上回ったのです。
さらに3月4日には株価がさらに伸び、終値が史上初の4万円台となりました。
国民生活は苦しいまま…
しかし、身の回りの景気が良くなったという実感は少ないと思います。
それもそのはず、物価高に対して賃金の上昇が追いついておらず、2023年の実質賃金は2.5%減となりました。
実質賃金については第3回「政府が打ち出した経済対策とは?」で説明していますが、要するに給料の伸びよりも物価の伸びのほうが大きいので、国民生活が苦しい状況になっているのです。
実際に総務省が発表した家計調査によると、2023年の消費支出は前年に比べて2.6%減となっているのです。
株価を押し上げた要因は?
どうして国内消費が減っていて、経済はあまり良くないように感じるのに、株価はどんどん上昇しているのか。
それは、海外へモノを輸出している会社を中心に、企業業績が好調だからです。
日本の輸出産業と言えば自動車ですが、トヨタは昨年4月から12月にかけての9カ月のグループ決算で、営業利益が初めて4兆円を超えて過去最高となりました。
どちらも背景にあるのは円安
国内消費は物価高によって減少している一方で、輸出産業は好調となっている。
その背景にあるのは円安です。
円安については第2回「円安とは何か?」でも詳しく解説しましたが、これによって海外から輸入するモノの値段が上がる一方で、日本から輸出するモノの値段が下がっているのです。
株価を押し上げている要因と、国民生活を苦しめている物価高の要因が同じというのは少し皮肉な感じもしますね。
では、この円安はいつまで続くのでしょうか?
次回は円安と株価について続けて解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)