訪問理美容サービスは、急速な高齢化に伴いニーズが高まる一方、ヘアサロンにおけるサステナビリティの取り組みとしても注目されています。
今回は、ホットペッパービューティーアカデミーが1月に発表した「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」(調査実施2023年10月)から、要介護者のご家族を対象にした調査をご紹介。訪問理美容の「変化」と「兆し」について、お伝えします。
※訪問理美容サービス=自宅や介護・福祉施設に理美容師が訪問し、ヘアカットなどの理美容メニューを実施するサービス。要支援者・要介護者の認定を受けた方など、外出が困難な方が対象
文・作表 服部 美奈子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
まずは高齢者を介護しているご家族の、訪問理美容サービスに対する認知度を見てみましょう。この1年で2.5ポイントもアップし、84.9%になっています。非常に多くの方がサービスの存在を知っている状態です。
続いて、利用経験率(1年以内に利用有+1年以上前に利用あり)です。こちらも伸びており、1.5ポイントアップし、35.5%になっています。とはいえ、認知度の高さに対して、まだまだ利用経験率は低いのが現状。この後、「⑤訪問理美容サービス非利用の理由とは?」でその理由をご説明します。
利用した方々の訪問理美容サービスへの満足度は、3.3ポイント上昇し、89.4%です。約9割の方が満足してくださっているのはうれしいですね。この後、満足ポイントについてもくわしく見ていきましょう。
訪問理美容サービスを利用しているお客さまは、実際にどんなポイントで満足を感じているのでしょうか?
TOP3は「料金が適正である」「安心して任せられる」「丁寧に扱ってくれる」といった費用や接客に関する項目でした。訪問理美容に関するセミナーを開催すると「技術の高さや介護知識が求められる」と感じている理美容師さんが多い印象ですので、この結果は意外だと感じる方もいるかもしれませんね。
また、高齢者の方々は疲れやすかったり、健康上の理由から長時間施術を受けることが難しかったりします。
実際に訪問理美容サービスを提供しているサロンに話を聞くと、カットはおひとり15分~20分程度で済ませるという方が非常に多いのも特徴的です。時間をかけて丁寧に施術することは、訪問理美容においては、かえって利用者の満足度を下げてしまうことにもつながりかねませんから、注意が必要ですね。
訪問理美容サービス利用者のご家族に「利用者ご本人に何かしらの良い効果を与えると思うかどうか」を聞いたところ、84.6%の方が「そう思う」と回答されました(※そう思う=とてもそう思う+まぁそう思う、そう思わない=あまりそう思わない+全くそう思わない)。
では、介護状態の改善にはつながっているのでしょうか?次のグラフで見てみましょう。
こちらは今回初めて取った調査データですが、47.1%の方が「訪問理美容サービスを利用して、要支援/要介護度の改善につながったと思う」と回答されました(※そう思う=とてもそう思う+まぁそう思う、そう思わない=あまりそう思わない+全くそう思わない)。
理美容の力がこんな良い効果を生んでいるというのは、うれしいことですね。次は、具体的にどんな良い変化があったのかを見ていきましょう。
約半数の方が「笑顔になる」と回答されています。外出が困難になっても、訪問理美容サービスを通じて笑顔になっていただけるのはステキですよね。
その他、「鏡を何度も見返す」「活力があふれた様子になる」「会話が活発になる」「身だしなみに気を使うようになった」「外出への意思が高まった」といった変化が挙げられています。介護をしているご家族にとっても嬉しい変化なのではないでしょうか。
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