国会ではどのような議論が行われているのか。前回の「通常国会が開会、その仕組みは?」では、国会開会からの流れについて説明しました。
さて、そこから予算案や法案はどのように成立していくのか。
今回の「週刊タイパニュース」では、国会の仕組みをさらに深掘りしていきます。
法案が成立するまでの流れ
こんにちは!ジャーナリストでVTuberの宮原健太です。政治記者として5年にわたり国会を取材していました。
前回は、国会が始まってから予算案や法案が議論されていく、大まかな日程についてでしたね。
では、その予算案や法案は具体的にどのように議論されて、成立するのでしょうか。
まず、予算案や法案が議論される際の一般的な流れは次の図のようになります。
国会議員が全員集まる本会議
議論の場には「本会議」と「委員会」という2つがあります。
「本会議」というのは、国会議員全員が本会議場に集まって行われる議論のこと。
ニュースなどで演台が扇形の議席に囲まれている場所を皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。
これが本会議場で、前回解説した施政方針演説や代表質問も、この場所で行われました。
ここでは、法案を所管する大臣や総理、与野党の質疑者が登壇して、演説のような形で法案について質疑応答をすることになります。
本格的な議論は委員会で行われる
もう1つの「委員会」というのは、各法案についてじっくりと議論する場になります。
与野党の各議員や大臣、総理などが一問一答を繰り返し、丁々発止のやりとりを繰り広げているのは、この委員会という場です。
委員会は議論のジャンルごとに存在しており、農業については「農林水産委員会」、経済政策については「経済産業委員会」、予算については「予算委員会」などとなっています。
ここで、予算案や法案について、ものによっては何日何十時間もかけて議論することになります。
実は多くの法案はすんなり成立する
皆さんは国会審議と聞くと、与野党が対立して、喧々諤々の議論を繰り広げている様子を想像されるかもしれませんが、実は、そういった意見が対立する「対決法案」はごく一部となります。
ほとんどの法案は対決するようなものではなかったり、機械的に改正される些末なものだったりするため、そういったものは、冒頭の本会議での趣旨説明、質疑が全カットされ、委員会審議も1日で終わり、最後の本会議質疑も省略される場合が多いです。
(ただし、最後は本会議に議員全員が集まって採決をしなければ法案が成立しないため、本会議採決が省略されることはありません)
そして、衆議院で法案が可決したら、参議院に送られて同じ流れで議論をし、法案が成立することになるのです。
(なお、全ての法案が衆議院から議論をスタートすると、参議院は暇になってしまうため、法案によっては参議院から議論がスタートしたりもします)
具体的な法案の内容などは、その議論が国会で盛り上がったタイミングで取り上げたいと思います。
次回はまた別の話題について解説します。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)