これまで4回にわたって解説してきた、自民党の派閥で裏金が作られていた問題。
「政治とカネ」を巡る事件によって失われてしまった信頼を取り戻すために、自民党では改革を進めようと話し合いが行われています。
「週刊タイパニュース」の連載第12回では、この改革案の内容について、裏金問題の最終回として解説をしていきます。
政治の信頼を取り戻せるのか?
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
年末年始からずっとニュースになってきた、自民党裏金問題については今回が最終回。
事件を受けて自民党に設置された、政治刷新本部で話し合われている改革の内容について解説していきます。
派閥とは何か?
自民党改革の内容の中でも、とりわけ大きく報道されているのが派閥の解散です。
これまで解説してきた通り、裏金は清和政策研究会(安倍派)などの派閥によって政治資金パーティーが開催され、その収入が過少記載される中で作られてきました。
そもそも派閥とは何なのか。
派閥は自民党の国会議員が集まることで作られ、日本の総理大臣を決めることとほぼ同義の自民党総裁選など、権力闘争で大きな役割を果たしています。
しかし、その派閥で裏金が作られていたことが発覚。カネや人事と密接だと見られてきた、この派閥を存続させるか、廃止するかが議論になりました。
岸田首相が派閥解散に言及
そうした中で、先んじて自身が率いてきた派閥、宏池会(岸田派)の解散について言及したのが岸田文雄首相です。
この派閥解散については、岸田首相がほぼ独断で決めたため自民党内は大混乱。
影響を受けて、裏金事件について刑事責任が問われた清和会(安倍派)、志帥会(二階派)も解散を決めました。
一方で、政治刷新本部で話し合われている改革案では、今ある派閥を全て廃止することにまでは踏み込みませんでした。
そのかわり、「お金や人事のための集団」と見られていた派閥から完全に決別し、「政策集団」として生まれ変わるとしています。
そのため、自民党内でもいくつかの派閥は存続し、解散した派閥も政策集団として復活するのではと見られていますが、そうした中で本当に自民党の体質が変わるのかが注目されています。
政治資金の透明化も重要
もう1つの重要な改革の内容は、政治資金の透明化です。
派閥は裏金事件の舞台になりましたが、裏金作りをしっかりと防止するためには、お金に関するルールをより厳しくすることが必要でしょう。
改革案では政治資金についてのルールを定めた政治資金規正法を厳格化するほか、「政策集団」による政治資金パーティーを禁止することなどが盛り込まれています。
法律の改正については、これから内容が具体化していきますが、二度と同じような問題を起こさないような仕組み作りが出来るかが問われています。
次回からは、また別のトピックを解説していきます。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)