都内有名店で勤務後に渡米し、現在はニューヨークのトップサロン「フレデリック・フェッカイ」でスタイリストとして活躍しているTOMO ARAKAWAさんがさまざまな疑問に答える「海外で働く美容師事情」シリーズ。
第2回となる今回は、海外へのハードルについて聞きました。
A)僕の場合、半年間は準備期間と考え、語学を学びながら現地で探しました。
2011年10月に身ひとつでアメリカに渡り、まずは語学学校に通いました。最初の半年間は、英語を勉強したり、サロンの見学に行ったり。
せっかくだから、スタッフもお客さまもみんなアメリカ人という環境で働きたいと思ったのですが、英語が話せなくて自分のお客さまを持つ力がないとシャンプーボーイになってしまう。
そこで、困ったら通訳に入ってもらえる日系サロンで働きだしました。渡米から半年後、2012年4月のことです。
サリー・ハッシュバーガーという高級サロンに所属する日本人美容師が、そこで働きながら自身の店を始めたという日系サロンでした。来店客の9割はアメリカ人ですが、スタッフは日本人が何人もいましたよ。
A)貯金がゼロになりました(笑) 若ければ平気です。
就職先が決まっていない状態で渡米するので、学生用のビザを取得するのですが、学生用だとバイトもできないんですよ。
語学学校の費用、生活費、渡航費・・・。日系サロンへの就職が決まり、就業用ビザをとるために帰国した時点で、貯金がゼロになりました(笑)
20代と若かったので出来たことですね。
A)カットは対応できます。カラーとブローは根本から学び直しました。
日本人美容師がアメリカで特に苦労するのは、ブローだと思います。
個人差はありますが、毛量は日本人が10万本、アメリカ人が8万本と言われているので、2割も少ないんですね、しかも細い。
感覚の違いもあります。ボリュームを出すことを求められるので、日本流だと不満に思われてしまうんです。
さらに、習慣の違いも。日本だと毎日髪を洗う人がほとんどですが、アメリカだと週に1~2回という人が結構多い。日系サロンで働きだしたころ「次に洗うまで、もたせて」と言われてとまどいました。
何日間にもわたって、次の洗髪まで形を保てることが求められる。ブローにはモチが重視されるんです。
これだけの違いがあるので、基本から学び直すつもりでアメリカ流のブローを身に着けました。
★TOMOHIRO ARAKAWAさんインタビュー★
⇒「海外で働く美容師事情」シリーズ
TOMOHIRO ARAKAWA (荒川智大)
山野美容専門学校卒業後、ZACCに所属し、サロンワーク以外にも雑誌、テレビのヘアメイクなど、幅広いフィールドで活動。 2011年よりニューヨークに活動拠点を移し、マンハッタンのサロン1店舗を経てFrederic Fekkaiに所属。NYコレクションでKate spade new yorkやProenza Schouler、Alice+Oliviaなど有名ブランドのショーのバックステージに参画し、雑誌、セミナー等でも活動する他、自身プロデュースのヘアケアブランドをアメリカで展開。モデルや女優、政界や王室関係者ら世界各国の顧客を抱える。