身の回りの物価はどうして上がっているのか。前回の記事「円安とは何か?」では、物価と円安の関係について解説しました。
さて、このような物価高に対して政府は何をしようとしているのか?「週刊タイパニュース」の連載第3回では、国の経済対策について取り上げます。
記者VTuberとしても活動するジャーナリストの宮原健太(ブンヤ新太)さんが、ニュースについてサクッと解説します!
物価高で生活は苦しく
こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
前回までは物価高がなぜ日本で起きているのか、その背景について解説しました。
この物価の上昇によって私たち国民の生活は苦しくなってしまっています。
実質賃金が下がっている
物価に対して賃金が上がったか下がったかを示す指標として、実質賃金というものがあります。
例えば、給料が月20万円から21万円に増えたとしても、物価高によって生活に使うお金が、月15万円から17万円に増えてしまっていたとしたら、月々のお金の余裕は5万円から4万円に減ってしまいます。
このように、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況を、実質賃金が下がっていると言います。
厚生労働省が21日に発表した毎月勤労統計調査というデータによると、今年9月の実質賃金は去年の9月と比べて2.9%減、18カ月連続のマイナスとなってしまいました。
国民にとって厳しいお財布事情が続いている事が分かります。
政府が打ち出した経済対策とは?
こうした中、政府は国民生活を支援しようと17兆円規模の経済対策を打ち出しました。
今年度の日本の年間予算が114兆円ですので、かなりの規模の対策だと言えるかと思います。
この経済対策の中でも特に注目されているのが、国民に直接恩恵が届く減税と給付金です。
国民1人につき所得税と住民税を4万円減税するほか、所得税や住民税を支払っていない低所得者世帯には、これまでの支援と合わせて1世帯あたり計10万円を給付する内容となっています。
即効性がないという批判も
しかし、多くの人が対象となる減税を実施するには、法律を改正する必要があり、実際に減税が行われるのは来年6月の予定です。
岸田文雄首相は「来年夏のボーナスに合わせて減税することで、所得が上がったと実感してもらえる」と説明していますが、「今の物価高に対して即効性がないのではないか」という批判も上がってしまっています。
政策 | 減税 | 給付金 |
対象 | 多くの国民 | 所得税などが非課税の低所得者 |
内容 | 所得税と住民税を1人4万円減税 | 1世帯あたり10万円の給付 |
時期 | 来年6月に減税を実施 | 年内から給付を始める |
このような経済対策について国会ではどのような議論が行われているのか。
次回は国会の仕組みについて解説をしていきます。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)