日々の暮らしでも実感することが多くなった物価高。前回の記事「どうして物価高が起きているの?」では、原因の1つであるエネルギー価格の高騰について解説しました。
ただ、物価が上がっている理由はそれだけではありません。
そこで、「週刊タイパニュース」の連載第2回では、もう1つの大きな要因である円安について取り上げます。
記者VTuberとしても活動するジャーナリストの宮原健太(ブンヤ新太)さんが、ニュースについてサクッと解説します!
物価高の要因は他にも・・・
こんにちは! ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。
さて、前回はロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー価格が高騰し、物価高を引き起こしていることについて解説しました。
このエネルギー価格の高騰は世界共通で起きているため、各国で物価が上昇する原因となっているのですが、実は日本ならではの物価高の要因もあります。
それが円安です。 13日にはニューヨーク外国為替市場で円安が進み、円相場は一時、1ドル=151円92銭となり、今年の最安値を更新しました。
円安とは何なのか?
円安というのは、外国の通貨に対する円の価値が下がることを言います。
例えば、1ドル=100円から1ドル=150円となった場合、これまで100円を出せば1ドルと交換できたものが、150円を出さないと1ドルと交換できなくなってしまいますので、ドルに対する円の価値が50円分下がったと言えます。
そして、円安が進むと、外国から輸入するモノの値段が上がります。
先ほどの例で言えば、これまで100円を出せば買えていた1ドルの製品が、150円出さなければ買えなくなってしまうからです。
実際に、2020年11月に発売されたiPhone12と、2023年9月に発売されたiPhone15 の価格を比べると、アメリカでは799ドルで値上げをせずに据え置かれていますが、日本では円安が進行したため、iPhone12が8万5500円であったものがiPhone15では12万4800円まで値上がりしてしまいました。
円安が進行した背景とは?
では、なぜ円安が進んでしまったのでしょうか。その理由の1つが日本とアメリカの金利差です。
いま、アメリカでは物価高を抑えるため、中央銀行の金利を上げるという政策を取っています。
金利を上げるとお金が借りにくくなりますから、市場に出回るお金の流れが抑えられて、モノの値段が上がりにくくなるのです。
一方で日本は低金利政策を続けています。
日本では長らくアベノミクスという経済政策がとられていたのですが、その1つが金利を下げて、市場に出回るお金の流れを加速させる金融緩和というものでした。
政府はこれまで長らく金融緩和を続けて経済を成長させようとしてきたため、日本で急に金利を上げることが難しくなっており、今もその余波が続いているのです。
金利差によって円安が起きる
そのため、アメリカでは高金利、日本では低金利となっているのですが、このように金利差があると、投資家の人たちは円を売ってドルを買うという動きをします。
金利が高い国の通貨で定期預金をしたほうがお得だからです。資産運用で外貨預金をしている人もいますよね。
このように、日本とアメリカの金利差によって円を売ってドルを買うという動きが強まると、円の価値がドルに対して下がってしまうので、円安が進行します。
そして、円安が進行した結果、海外から輸入するモノの値段があがり、私たちの身の回りの様々な製品が値上がりしてしまうことになるのです。
物価高で生活が圧迫されてしまう状況が続いていますが、それに対して日本政府は何をしようとしているのか?
政府の経済対策について次回は解説をしていきます。
ぜひ、お楽しみに!
宮原 健太
ジャーナリスト、YouTuber
1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。
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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)