美容師の持つDesign Abilities(DA/デザイン能力)を刺激するミルボンの教育イベント「ミルボンDAアワード」。
7月9日、東京・渋谷のヒカリエホールで「ミルボンDAアワード2019」が開催され、DAインスパイアのグランプリに当たるDAオブザイヤーの栄冠は矢冨カレンさん(Daisy)が手にした。
DAフォトワークスのリアリティブ部門は松垣智大さん(PATCH HAIR)、アバンギャルド部門は柴田衣美子さん(BRUSH 髪の館)がDAオブザイヤーに輝いた。
リアリティブを志向するDAインスパイア
「ミルボンDAアワード」は第1部「DAインスパイア ライブ ファイナル」と第2部「DAアワード」の2部構成。
「DAインスパイア ライブ ファイナル」では、昨秋開催のDAインスパイアで各エリアを勝ち進んだ16名のファイナリストが一堂に会してグランプリの座をかけて競い合い、その後の「DAアワード」では、DAインスパイアとDAフォトワークスの合同授賞式を行った。
DAインスパイアが志向するのは「リアリティブ」なデザイン。
リアリティブとは、リアル×クリエイティブ。顧客と向き合う『リアル』なサロンワークと、デザイナーの自由な発想で感性を磨く『クリエイション』の融合から生まれる『リアリティブ発想』が新たなデザインの未来を切り拓くとミルボンは考えている。
このためDAインスパイアでは、リアルデザインとクリエイティブデザインそれぞれの作品写真パネルを掲出した上で、35分の競技時間内に、モデルを用いた「リアリティメイキング」(リアリティブ発想のデザイン)を行う。
選考も、同じモデルを用いた①リアルデザインのパネル、②クリエイティブデザインのパネル、③モデルの総合点で行われるという独自のスタイルだ。
当日は、札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、福岡、中国、韓国、台湾、マレーシアの国内8、海外4の12エリアから集結した16名のファイナリストが技とセンスを競い、観客はモデルとパネルを見比べながら熱心に動画や写真を撮っていた。
国内外から1100人超が出場、動員数は約1万5000人
DAインスパイアは元々エリアごとに行われていたが、2017年5月に初めてグランプリファイナルを開催し、エリアファイナリストの中からグランプリを選出する形になった。
この時にノミネート対象となったDAインスパイア2016の出場者は世界6エリア(国内4・海外2)759名だったが、今回の対象となるDAインスパイアライブ2018の出場者は世界12エリア(国内8・海外4)1165名へと規模が拡大、会場への動員数は約1万5000人に上る。
DAアワードの冒頭、あいさつに立った佐藤龍二社長は「1回目より2回目、そしてさらに今回3回目とレベルがますます高くなっていると感じている。まさに日本を代表するデザイナーさん、アジアを代表するデザイナーさんでなかろうかと思っている。今後の美容業界のために、ヘアデザインを通じて、日本を、そしてアジアをけん引していただければと思う」と期待を込めた。
応募作品数は2000超!「DAフォトワークス」
日本、韓国、台湾、中国、マレーシアから2143作品の応募があったDAフォトワークス。
審査員の顔ぶれもそうそうたるもので、岩田敏靖氏(Angelica)、浦さやか氏(otope)、大林博之氏(ASCH)、岡村享央氏(MINX)、小村順子氏(ACQUA)、木村直人氏(air)、古城隆氏(DADA CuBiC)、小林知弘氏(kakimoto arms)、小松敦氏(HEAVENS)、小松利幸氏(ANTI)、薫森正義氏(Rougy)、高橋正樹氏(ELENA)、玉置明日香氏(snob)、CHIKA氏(artifata)、塚本繁氏(K-two)、土橋勇人氏(DIFINO)、福井達真氏(PEEK-A-BOO)、宮村浩気氏(AFLOAT)、山本真梨子氏(LILI)の19名に及ぶ。
参加者の人数、エリア、作品の質、審査員の人数、実績、どれを取ってもアジア屈指のフォトコンテストといって間違いない。
リアリティブ部門は松垣智大さん(PATCH HAIR)
DAアワードの表彰は、DAフォトワークス・リアリティブ部門を皮切りに始まった。
リアリティブ部門は、サロンワークの延長線上にある、デザイナーの自分印が入ったリアリティブデザイン。
DAオブザイヤーに輝いた松垣智大さん(PATCH HAIR)には、佐藤社長からトロフィーと教育支援金30万円が渡された。
松垣さんは「今回、自分のつくりたい作品がつくれて、それが評価された。がんばってきてよかったと思いました。まだまだ足りない部分ばかりですが、これからもがんばります。ありがとうございました」と喜びを語った。
アバンギャルド部門は柴田衣美子さん(BRUSH 髪の館)
続いて、アバンギャルド部門。
アバンギャルド部門は、既成概念や過去の形式に捉われず、先駆的な表現を試みたハイクリエイティブデザイン。
DAオブザイヤーに輝いた柴田衣美子さん(BRUSH 髪の館)には、佐藤社長からトロフィーと教育支援金30万円が渡された。
柴田さんは「撮影を始めて3年目ですが、1年目は毎日泣いている状態でした。自分らしさとは、おしゃれなこととはと自分を追いつめていたけれど、今回は受賞(を狙う)とか関係なく、そういうものをとっぱらって、自分が素敵だなと思う作品を撮影の仲間といっしょにつくりました。それを選んでもらえたことが本当にうれしい。撮影ができる環境にも感謝しています」と声をつまらせながら喜びと感謝を表した。
DAインスパイアは矢冨カレンさん(Daisy)
最後は、DAインスパイア。
16名のファイナリストとモデル全員が壇上に上がり、DAオブザイヤーの発表を待つ。
名前が呼ばれると矢冨さんは驚いた表情を見せ、次の瞬間、モデルと抱き合って喜んだ。
矢冨さんは昨年のエリア予選からずっと、マナさんにモデルをお願いしてきた。競技で思い切り髪を切れるよう、髪を伸ばし続けてくれたという。
「何でも好きなようにしていい、と言ってくれた。マナちゃんのおかげでしかないです」
矢冨さんのサロンはこれまでクリエイティブに取り組んでいなかった。
「右も左もわからなくて、でもオーナーに相談したら素敵な美容師さんを紹介してくれて感謝しています。他のサロンの人なのに親身になってくださる先輩がたくさんいたのでこのような賞をいただくことができました。うちのサロンに、クリエイティブをやりたくて入ってくる新人が出てきたら嬉しい。後輩には私が教えたいと思います」
オーナー、同僚、他店でありながら指導してくれた先輩美容師、そしてモデルのマナさん。涙まじりに、支えてくれた多くの人への感謝を述べた。
矢冨さんには、佐藤社長からトロフィーと教育支援金50万円が渡された。
「DAインスパイア ライブ ファイナル2020」では、業界の重鎮とともに矢冨さんもゲスト審査員を務める。
次回はさらに多くの人が参戦するであろうミルボンDAインスパイアとDAフォトワークス。DAインスパイアのエリア予選は、間もなく秋口にスタートする。
美容師の持つDesign Abilities(DA)を刺激するミルボンのDAアワード。次回はどのようなドラマが生まれるのか、期待が高まる。