ホットペッパービューティーアカデミーは9月7日に「美容サロン顧客満足調査2023」を発表しました。美容室の競争環境はますます激しく、リピート客を増やすことが経営安定のカギになります。
今回は、この調査結果を踏まえ、「MOT(Moment Of Truth)」というマーケティング概念を用いながら、「リピーター増加」となるポイントをご紹介します!
文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①「MOTサイクル」とは?
まず、今回の調査の考え方である「MOTサイクル」について説明します。MOT(Moment Of Truth)は「真実の瞬間」と訳され、お客さまが企業に対する印象を決める決定的瞬間という意味です。
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今回の調査では、来店前から来店中、そして帰宅後まで、お客さまの美容室利用における18の接点から、どのポイントで「サロンのリピートを決めているのか」を調べています(本記事では、女性のデータをご紹介します)。
②リピートのポイント、「会計」のスコアが上昇
それでは美容室のリピートを決めるポイントを見ていきましょう。
1位は「仕上がり確認」、2位は「施術」で、前回の調査(2021年)から変わりません。しかし、前回調査時から、1位、2位どちらもスコアが減少しています。技術力に関しては業界全体の水準が上がってきているため、差別化要因になりにくいということかもしれません。
一方、3位「カウンセリング」、7位「会計」は前回調査時よりもスコアが増加しています。特に7位の「会計」は17.2%(2021年)から19.2%(2023年)と2.0ポイントの増加となっています。
③「会計」が他店との差別化に?
リピートのポイントに「会計」のスコアが上昇した背景について考えてみましょう。ここ2年の間に、キャッシュレスやオンライン決済など社会全体で決済手段が多様化しています。これまでは「出来なくても、なんとかなっていた」という決済手段が、お客さまが「便利さ」を実感するものになっています。
「ホットペッパービューティー」でも2023年1月から「スマート決済」を始めています。利用するお客さまからは「会計で待たなくて楽!」など多くの声を頂いています。ストレスフリーな会計がサロンの付加価値となり、他店との差別化にもつながっているのです。
④2割以上が来店前に再来を決定
次は、MOTのポイントで「また利用したいと最も強く思った場面」を「来店前」「サロン滞在中」「帰宅後」の3つに分けた結果を見てみましょう。
この円グラフの内訳は、次の通りです。
▼来店前
「サロンを知る」「事前に口コミなどで確認」「電話、予約サイトで予約する」「予約確認」「サロンに行く」
※「サロンを知る」なら、来店前に調べてそのサロンを知った時点で「また利用したい」と思った。加えて、サロン滞在中や帰宅後よりも、この知った時点で最も強く思ったということ。
▼サロン滞在中
「受付する」「カウンセリング」「シャンプー」「施術」「雑誌、飲み物サービス」「仕上がり確認」「ブロー、スタイリング」「ケア商品購入」「会計」「次回予約」「お見送り」
▼帰宅後
「自宅ケア」「アフターフォロー」
実は、施術を受ける前の「来店前」の時点ですでにリピートを決めている人が24%もいるのです!
来店前には「口コミ」や「サロンを知る」(サロンの情報をネットなどで事前に調べる)などのポイントがあります。口コミの投稿やサロンからの返信が良かったり、ホームページやSNS、集客サイトでの情報発信に対して共感したり信頼を寄せたりして、リピートを決めるのかもしれませんね。