化粧品クチコミサイト「@cosme(アットコスメ)」の印象が強いアイスタイルだが、実は小売事業(EC・店舗)が全売上高の約7割を占める。
特にリアル店舗はコロナ禍を経て再成長しており、今秋に関西初のフラッグシップショップ「@cosme OSAKA」をオープンするなど、さらなる攻勢をかけている。
関西エリア最大級の化粧品専門店
アイスタイルの2023年6月期は、店舗事業が前年同期比46%増、EC事業が16%増と小売事業が共に2ケタ成長を達成。小売事業だけで292億2200万円(前年同期比33.4%増)を売り上げており、これは全売上高428億9000万円(同24.7%増)の68.1%に当たる。
好調な店舗事業のホットトピックは、2023年9月1日にオープンした「@cosme OSAKA」。売り場面積270坪、取り扱いブランド500、商品数1万2000超の大規模な化粧品専門店だ。
2020年1月にオープンした東京・原宿駅前の「@cosme TOKYO」に次ぐ規模であり、こちらも梅田駅直結の商業施設ルクア イーレ内という好立地。アイスタイルにとっては2店舗目、関西エリアでは初のフラッグシップショップと位置づけている。
ラグジュアリーからプチプラまで500ブランド
“コスメセレクトショップ”をうたうアットコスメストアは、流通チャネルを横断した幅広いブランドラインナップに強みを持つ。
「@cosme OSAKA」も自社初の取り扱いとなる「CHANEL(シャネル)」や「SUQQU(スック)」、日本初上陸の韓国コスメ「HERA(ヘラ)」など、百貨店のラグジュアリーブランドからプチプラコスメ、トレンドコスメまで、価格帯もジャンルも様々な500ブランドをそろえている。
「出会い」を生む5つの仕掛け
コスメを自由に試せるスペースをつくり、テスターを豊富に用意し、イベントを行うことで生活者とコスメの「出会い」を提供するアットコスメ。この特徴を「@cosme OSAKA」も踏襲、強化している。
①セールスランキングタワー
セールスランキングタワーでは、「@cosme OSAKA」で売れている商品をランキング形式で紹介。いま人気の商品がひと目でわかる。
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②ベストコスメアワードウォール
歴代の殿堂入りコスメから最新の受賞アイテムまでを壁一面にディスプレイ。生活者の支持を集めてきた商品との出会いをつくる。
@cosmeのベストコスメ
@cosmeと言えば、2000年から20年以上続く、クチコミで決まるベストコスメアワードが有名。雑誌がベストコスメを選んでいた時代に、ウェブサイト上のクチコミで選ぶベストコスメを打ち出し、化粧品業界に衝撃を与えた。
③NEXT TRENDゾーン
先行発売アイテムや限定アイテム、日本未発売の海外ブランド、これから流行りそうなアイテムなどを展開。まだ広く知られていないD2Cブランド、国内外の新興ブランドとの出会いを実現する。
④ポップアップスペース
@cosme TOKYOでも好評な、期間限定のイベントポップアップスペースを複数展開。いつ訪れても新しい出会いがある空間を演出する。
⑤コスメサンプルスタンド
@cosmeのアプリをかざすと、1人1日1回、好きなサンプルが無償でもらえる自動販売機。トライアルをうながしたいブランドと試してみたい生活者を結びつける。
小売事業20%増で500億円企業へ
なお、アイスタイルは12月1日から3日にかけて、年に一度のコスメ祭「@cosme BEAUTY DAY」を開催する。ECサイトと実店舗を連動した恒例の企画であり、今年は「@cosme OSAKA」でも大々的に行う。
2024年6月期の計画は売上高500億円で、このうち小売事業が355億円(構成比71%)。ECは業務資本提携を結んだアマゾン内にストアを立ち上げ、実店舗は@cosme OSAKAなどの新店の寄与やインバウンド需要を見込む。EC・実店舗ともプラス20%の成長予想を打ち出している。
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中長期的には、現在の40店舗から80店舗へと店舗数を増やし、小売りの流通総額1000億円を目指す考えだ。
「@cosme OSAKA」店舗概要
▽所在地=大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ 3F
▽営業時間=10:30〜20:30
▽店休日=施設営業日に準じる
編集・文/大徳明子