助成金は毎年制度が変更され、なくなる助成金や利用しづらくなる助成金もありますが、「育児と仕事の両立」についての助成金は毎年継続されています。
女性スタッフの産休・育休を支援する助成金だけでなく、男性の育児休業を支援する助成金もあり、弊所のお客さまでも年に数件申請をしています。
産休・育休を取得できることは世の中では当然の流れにあり、また今後採用する若手スタッフも産休・育休を取得することを望む方が多い状況です。
ハローワークの求人票では「育児休業取得実績の有無」を記載しなければいけません。新卒の求人についても、「実績の有無」を記載項目としている美容学校が増加しています。
制度があっても使われていなければ、制度がないのと同じです。つまり実績の有無が重視されます。これは育児休業だけでなく、有給の消化実績、昇給や賞与の支払い実績など、様々なことに言えます。
また、お客さまへの印象も考える必要があるでしょう。
美容サロンを利用するお客さまの多くは女性です。そして人口ピラミッドを見ても、30歳未満の人口と30歳以上の人口では、明らかに30歳以上の方が多くいます。
その全員が育児経験者というわけではありませんが、出産・育児を経験している方が多いため、「育休取得できるサロン」に好印象を持つ傾向にあるのは事実です。
求人難といわれている今ですが、今後ますます、この流れは加速していくと思われます。
離職の防止や採用をスムーズにするため、「スタッフへ多様な働き方の提案をしたい」という相談は弊所でも増えています。育児だけなく、最近は副業をしたいなどのニーズもあります。
正社員、社保加入の短時間勤務の正社員、完全歩合給で働くパートスタッフ、フレックス制度。サロンの発展的な経営には、こうした様々なニーズに対応し、働くスタッフの働きがいやライフスタイルの変化に応えることが必要なのではないでしょうか。
大学卒業後、地方銀行に就職し、在職中に社会保険労務士資格を取得。その後、中堅税理士法人2社にて、労務コンサルティング、助成金申請等を経験し、平成20年なかしま社労士事務所を開業。現在は、美容業のお客さまを中心に、採用・定着のためのアドバイス、求人票作成、就業規則の作成、助成金申請のサポートなどを行う。
監修・文/中嶋有美(社会保険労務士) 編集/大徳明子
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