知り合い同士での“面貸し”ではなく、空いた鏡とフリーランス美容師をマッチングして、売上や利用者の管理をアプリでサポートするサービス「b-pocket(ビーポケット)」。
2022年10月のサービス開始以来、徐々にユーザーを増やしている。
貸したい理美容室、借りたいフリーランス
「b-pocket」を運営するのは、株式会社プラスルーム(大阪府枚方市/代表取締役:村田克敏)。2023年7月現在の掲載サロン(理美容室)は480軒、登録している理美容師は350人に上る。
サービス開始から順調なスタートとなった背景には、オーバーストアによって鏡が埋まらない理美容室が増え、働き方が変わるなかでフリーランスの理美容師が増えていること、つまり、貸したい理美容室と借りたい理美容師、どちらもニーズが大きくなっていることがあげられる。
掲載費0円で空き鏡を収益化
鏡を貸し出す理美容室にとっては、マッチングサイトへの掲載費0円、初期費用0円で空いた鏡を収益化できる。
面貸しなら売上額の20%に商材費・光熱費(5~10%相当)が加わった額がサロンの取り分。業務委託なら売上額の40~50%から利用料を引いた額となる。
利用料のシミュレーション
利用者(理美容師)の売上 | サロンがb-pocketに支払う利用料 |
5万円未満 | 0円 |
10万円未満 | 8,000円 |
20万円未満 | 15,000円 |
30万円未満 | 20,000円 |
40万円未満 | 25,000円 |
40万円以上 | 30,000円 |
※税抜き価格。利用料は変動する場合がある
エリアや家賃によるが、空き鏡1面で月に10万円の損失になっているケースも少なくない。わずかなコストで収益化できれば経営改善につながる。
また、昔ながらの知人への面貸しとちがい、b-pocketはサポート内容も手厚い。売上や利用スタイリストの管理をアプリで手軽にできる。
予約1件で352円、業界最安値の利用料
シェアサロンもあるなか、フリーランス理美容師にとってb-pocketを利用するメリットのひとつが、予約1件につき352円という業界最安値の利用料。
運営に支払うのはこれだけで、登録費用や月額費用はかからない。サロンへの売上歩合率はどのサロンも一律80%で、商材費・光熱費は別途となる。
さらに、集客のためのクーポン発行、税金や健康保険の相談、最大3000万円のトラブル補償などの各種サポートが受けられる。
働き方の多様化とb-pocketの需要
空いた鏡を埋めたい理美容室とフリーランス理美容師の架け橋となるb-pocket。ビューティガレージグループのCVCであるBGベンチャーズも投資を実行した。
働き方の多様化が進み、フリーランスの割合が現在の15%程度から10年後には50%を超えるとの予測もあるなか、今後ますます需要が高まることになりそうな新サービスだ。
文/大徳明子