日本でいちばん有名な美容室。そう言っても過言ではないであろう、高木琢也さん率いるメンズサロンのOCEAN TOKYO(オーシャントーキョー)が、2023年9月14日に10周年を迎える。
数々の偉業を成し遂げてきた高木さんが語る、この先の展望とは?
── 高木さんは常々「日本一を目指す」と、おっしゃってきました。そう考えるようになったのは、いつ頃から?
お客さんに「アシスタントだった二十歳のときから、宣言していたよ」って言われたことがあります。とにかく、負けるのが嫌いだから。学生の頃は、バイトの面接もことごとく受からなくて、その時点で誰かに負けているわけですよね。もう負けるのは嫌だなと思って。
学生時代も、美容師になってからも、ほかの人に「無理だ」「できっこない」と言われると、その怒りをパワーに変えてきたタイプかもしれない。
── 朝早くから夜遅くまで練習されてきたそうですね。若い世代に対して、「昔の自分ほど練習しないな」と思うことはありますか?
それは思うけど…。僕ほどやらなくてもいい。でも贅沢な暮らしをできるようにはしてあげたい。OCEANに入ったからには世の中の人が見えない世界を見れるようになってほしい、という感じかな。スタッフに「練習しろ」って、すごく言うこともないです。
ただ、みんなが休んでいるときに、僕は誰よりも練習した。だから上手い、っていうのはありますね。
── 月に一回、予約を開放していますが、一瞬で埋まってしまうとか。お客さまは、学生さんが多いのですか?
学生と社会人が半々ですね。10年くらいずっと切っているお客さんも多いので、社会人が半分。
でも、どんどん若い子にも来てほしくて料金を上げていないので、学生も半分くらいいます。
── だから、これだけ有名になっても、カット料金が1万3200円。
高校生が買える範囲の、ちょっといいスニーカーとかTシャツと、同じくらいの金額にしています。
── ちなみに、高木さん自身は、どんな高校生でしたか?
やんちゃでした。すごく厳しい学校で、ワックスや、カラー・パーマもダメ。でも、モテたかったから全部やってた(笑) ワックスは常に、10個くらい持っていたかなあ。
── その頃から、ワックスにこだわりがあったのですね。OCEAN TOKYOがプロデュースするプロダクトブランド「OCEAN TRICO(オーシャントリコ)」は2016年の発売から7年、販売総数は1000万個を突破しています。サロンだけではなく、バラエティショップやドラッグストアなどでも販売する理由は?
僕は、一般のお客さんのためにしか、やりたくないから。ほかの美容師さんにどう思われたいとか、お金どうこうじゃない。どこでも手に入って、“少年たちのテンションが上がるもの”、ということしか考えていないんです。
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