SNSを活用した集客、Googleマップに上位表示されるためのMEO対策、ネット予約など、美容業界のIT化は日進月歩の勢いです。
美容室の予約でもついに「ネット予約」が「電話予約」を上回りました。以下、詳しく見ていきます。
「ネット予約」が46.1%、「電話予約」を逆転
ホットペッパービューティーアカデミー(運営:株式会社リクルートライフスタイル)は6月13日、「美容センサス2019年上期 美容室・理容室編」を発表した。
全国の15~69歳の男女それぞれ6600人を対象とした調査で、このうち女性の「美容室の予約方法」が「電話予約」36.6%に対して「ネット予約」が46.1%と逆転。初めて「ネット予約」が「電話予約」を上回った。
スマホからの予約が急成長、5年で3倍に
女性は「スマートフォンからの予約」が29.7%と約3割を占める。2015年はわずか9%で1割を切っていたが、この5年で3倍以上に急成長した。
電話予約(%) | 前回比(pt) | ネット予約(%) | 前回比(pt) | |
15~19歳 | 43.8 | -1.4 | 49.0 | +4.7 |
20代 | 24.8 | -7.8 | 70.7 | +5.1 |
30代 | 32.0 | -8.3 | 63.4 | +8.3 |
40代 | 36.8 | -5.0 | 44.8 | +6.5 |
50代 | 41.4 | -6.2 | 33.5 | +6.3 |
60代 | 44.8 | -0.6 | 16.3 | +2.4 |
なお、これは15~69歳全体の結果で、20代ではネット予約が7割を占める。また、いずれの年代においても電話予約は減少し、ネット予約が増えている。
10~40代までは、ネット予約が電話予約を上回る。特に40代については、2018年上期調査では電話予約41.8%、ネット予約38.3%だったが、今回の調査で逆転した。
男性は「電話予約」が上回っているものの「ネット予約」との差はわずか1.3ポイントまで縮まった。「スマートフォンからの予約」は2015年の5.5%から23.6%へと4倍以上に伸びている。
なお男女合計では「電話予約」38%、「ネット予約」44%で、「ネット予約」が上回った。
来店時の次回予約は1割未満
「来店時の次回予約」については、女性が前回比0.6ポイント減の8.4%、男性が0.5ポイント減の9.2%で、男女とも1割に満たず、さらに前回より減少するという結果に。リピート顧客の獲得には「来店時の次回予約」が有効なため、ここに力を入れているサロンも少なくないが、厳しい結果となった。
一方「予約していない」は女性18.0%、男性20.7%。スマートフォンから手軽に予約できるようになったことを受けてか、男女とも前回より微減した。
その反面、大きくは減らない背景には、近年勢いを増している1000円カットやヘアカラー専門店は予約不要のところが多いことが影響していると推測される。
スマホを日常生活に取り込む40代女性
今回の調査で注目すべきは「40代女性のスマートフォンからのネット予約」だという。
ホットペッパービューティーアカデミーの研究員である田中公子氏は「IT化がカスタマーの予約行動を変えた」と次のように分析する。
「40代女性が10代後半~20代後半だったころのIT環境を振り返ると『インターネットと携帯電話(ポケベル、PHS含む)の普及』が大きく影響した世代であることが分かります。現在の40代女性は、高校生のころからポケベルを使い、学生から社会人になるにつれてPHSや携帯電話を使うなど、モバイル技術の進化とともに育った世代です。スマホを日常生活に取り込む40代の増加により、『ネット予約』はますます増えていくでしょう」
【参考】
40代女性(1969年~1978年生まれ)が高校生から20代にかけての時代、1990年~2000年のIT・携帯サービスの進化は次の通り。(出典:総務省情報通信 統計データベース)
1993年 | ポケベルがドラマの主題歌に |
1996年 | ポケベル利用者がピーク。1000万加入(数) |
1998年 | PHSの契約者が700万人へ |
1999年 | 「iモード」開始 |
東京のスマホ保有率は初の8割超え
博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が5月23日に発表した「メディア定点調査2019」を見ても、スマートフォンの伸びは著しい。
こちらは地区別の調査だが、東京では初めてスマートフォンの所有率が8割を超えた。
なお愛知79.4%、大阪76.9%で、高知も71.9%と初の7割台になり、メディア環境研究所では「各地区の差は縮まりつつある」と分析している。
都市・地方を問わずスマートフォンが普及し、中高年の利用も進んでいます。ホットペッパービューティーアカデミーの分析にもあったように「モバイル技術の進化とともに育った世代が、スマホを日常生活に取り込んでいる」ということは、今後もネットの重要性が増していくということです。
SNSやポータルサイトを効果的に活用した集客、自社アプリへの誘導による次回予約・リピート客の定着化など、ネットを活用した施策に、より一層力を入れていくサロンが生き残るサロン、成長を続けるサロンとなっていくと言えるのではないでしょうか。