④車で来店する女性目線で考える
美容室のお客さまの多くは女性です。その女性が車を自分で運転して来店することを想定してください。
トラックなどの大型車が多く走る道路ではなく、スーパーマーケットやドラッグストアなどへ向かう“普段の暮らしで使う生活道路上”に店舗があること。駐車場があるのかどうか、その駐車場は停めやすそうか、出入りがしやすそうか。男性目線だと、どうしても車の停めやすさの優先度を下げてしまいがちです。
車を運転しながらでも美容室だと分かる店舗外観と、店舗スタッフに聞かなくても停めやすそうな駐車場があれば、その方がネットで美容室を検索した際、「あのお店ね!」と普段見ている景色の記憶とつながり、来店していただける可能性がより高くなります。
愛知県安城市・WAYS(ウェイズ)
「WAYS(ウェイズ)」の立地は、コインランドリーの跡地。この店舗は2本の生活道路に挟まれ、2本の道路が1本に合流する「じょうご」の形をしており、両方の道路から駐車へ出入りすることが可能です。
車を運転しながらでも店舗の存在、駐車場の存在の視認性が高く、駐車のしやすさもひと目で分かります。
愛知県名古屋市緑区・HAUS.(ハウス)
「HAUS.(ハウス)」が店を構えたのは、地域で人気だった洋食屋さんの跡地。店舗の前の道路は生活道路で、目の前にバス停があります。
店舗側面に4台の駐車場、道路から見える場所に第2駐車場があります。目の前の道路を車で通過する人にも分かりやすく、大きな看板で駐車場の存在をアピールしています。
セット面は4台ですが、駐車場の台数の多さを強調することで車での行きやすさがより伝わります。
愛知県春日井市・オレのカット ワタシのカラー
「オレのカット ワタシのカラー」は、リフォーム会社の跡地に出店。年齢層が高めで予約制ではないサロンです。店舗の前にはバス停があり、店舗側面には広めの共用駐車場があります。
ターゲット層の年齢が高いため、ネット集客よりも通いやすさ、何のお店なのかすぐに分かる店舗看板・のぼりを活用した“店舗外観デザインによる集客”を重視しています。
店舗の前の道は大きな道路ですが、分離帯はなく、大型車が通る通過道路と生活者が使う生活道路の両方の特徴を持つ道路上にあります。
⑤大切なのはお客さま視点
共通しているのは、お客さまの立場から見て「行きやすくて、分かりやすい」場所であるかどうか。視点はあくまでも「お客さまであること」が、良い立地を選ぶ上でとても大切な考え方です。
美容業界ほど厳しい競争状態の業界はありません。経営は有利な武器を1つでも多く持っている人が勝ちます。
この業界で勝ち抜き、成長をし続けていくために、より有利な美容室の独立をするために、良い立地の選び方を一人でも多くの方に知ってもらえたらうれしいで
す。
中嶋 政雄
税理士/なかしま税務労務事務所 ・代表/株式会社スカイコンサルタント・代表取締役
NAKASHIMA MASAO/大学卒業後、28歳で税理士登録。「必ず生存する美容室をつくる」をコンセプトに、美容室開業前の立地診断、事業計画、創業融資サポートを得意とする。美容室の開業相談の数は300件以上。創業から支援したサロンの廃業はゼロ。180軒以上の美容室に顧問税理士として関わる。
→ サロン開業相談室
監修・文/中嶋政雄(税理士) 編集/大徳明子、青木麻実