ヘアメイクの既成概念を「越境」した作品群
資生堂トップヘアメイクアップアーティストである計良宏文(けら・ひろふみ)氏の展覧会「May I Start? 計良宏文の越境するヘアメイク」が2019年7月6日(土)~9月1日(日)の期間、埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市)で開催される。
ヘアメイクアップアーティストによる展覧会が公立美術館で開催されるのは日本初の快挙。
計良宏文氏は、資生堂にわずか8名しかいない資生堂トップヘアメイクアップアーティストとして、広告宣伝やパリコレクションなどで幅広く活躍。ヘアメイクアップの技術とセンスを現代美術とのコラボレーションにも展開し、表現の幅を広げてきた。
ヘアメイクの既成概念を超え、さまざまな領域のアーティストと共同制作した作品が認められ、開催に至った。
計良宏文氏によるヘアメイク実演や対談も
期間中には、計良宏文氏によるヘアメイクの実演、文楽人形の頭部の制作、坂部三樹郎氏や髙崎卓馬氏(電通エグゼクティブ・クリエーティブディレクター)との対談など豊富な企画が予定されている。
ヘアメイクライブ
7月15日、8月6日にそれぞれ2回、計良宏文氏によるヘアメイクの実演を行う。各回30分で、定員50名、2階企画展示室にて開催。開始の1時間前から1階受付で整理券を配布する。料金は企画展観覧料のみ。
▽7月15日(月・祝)11:00~11:30 、15:00~15:30
▽8月6日(火)11:00~11:30 、15:00~15:30
文楽人形のかしら(頭部)の制作
計良宏文氏が文楽人形のかしら(頭部)の制作を行う(滞在制作)。
▽7月20日(土)/2階企画展示室
詳細は後日、計良宏文氏HPで告知される。
トークライブ
7月12日、8月18日には、計良宏文氏とクリエイティブの著名人による無料のトークライブが行われる。いずれの回も2階講堂で開催、定員は80名(当日先着順)。
▽7月12日(金) 14:30~16:00(開場14:00)
髙崎卓馬氏(株式会社電通 エグゼクティブ・クリエーティブディレクター)との対談
▽8月18日(日) 14:30~16:00(開場14:00)
坂部三樹郎氏(MIKIO SAKABE デザイナー)との対談
ギャラリーツアー
計良宏文氏と美術館担当学芸員によるギャラリートークを2階企画展示室にて実施する。企画展の観覧料のみで参加可能。
▽8月3日(土)15:00~16:00
展覧会のみどころ
ファッションとヘアメイク
計良宏文氏は、パリコレクションや東京コレクションなどのファッションショーのバックステージ、シーズンルックやカタログ撮影などのヘアメイクの数々を担当してきた。
展示会では、これまでに携わった国内外のブランドからANREALAGE、SOMARTA、MIKIO SAKABE、writtenafterwards、LIMI feuの5ブランドとの仕事を、ウィッグやヘッドピース、制作時の資料類を加えて紹介。ヘアメイクの視点からファッションの現在を考える機会を設ける。
計良宏文氏×ファッションデザイナー坂部三樹郎氏のインスタレーション
展覧会の中心となるのが、ファッションデザイナー・坂部三樹郎氏とのコラボレーションによる新作映像インスタレーション《FACE》。
計良宏文氏がヘアメイクを、坂部三樹郎氏が衣裳のスタイリングを担当し、「ひとりの女性の顔が、ヘアメイクの力で多彩な女性像に変化するさま」を約40台のディスプレイで表現。自由な創造力と卓越した技術によって、ヘアメイクの力と可能性を示す。
多彩なコラボレーションの全貌を紹介
計良宏文氏は、2013年に開催された「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(資生堂ギャラリー)でヘアメイクを担当して以降、《自画像の美術史》シリーズなどで森村作品への参加を続けている。
また、文楽人形のかしら(頭部)を制作し、人形遣い・勘緑氏の公演に提供したり、華道家・写真家の勅使河原城一氏とともに「花」を題材とした共作に取り組んだりと、さまざまなジャンルのクリエイターとの協働により、ヘアメイクの概念を刷新する活動を展開している。
今回の展示会は、これらの多彩なコラボレーションが一挙紹介される貴重な機会だ。
展覧会概要
「May I Start? 計良宏文の越境するヘアメイク」
▽会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
▽会期:2019年7月6日(土)~9月1日(日)
▽開館時間:10時~17時30分(展示室への入室は17時まで)
▽休館日:月曜日(7月15日、8月12日は開館)
▽観覧料:一般1100円(880円)、大高生880円(710円) ※( )内は20名以上の団体料金
なお、資生堂は2019年4月に企業使命を「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」と定めた。同社では「今後もヘアメイクアップも含めたすべての企業活動を通じて、世界中の人々が心身ともに健やかで美しく、前向きな気持ちで日々を過ごせる世界をつくっていくことに貢献します」としている。
計良宏文(けら・ひろふみ)
新潟県出身。1992年、資生堂に入社。資生堂ビューティークリエイションセンター所属。宣伝広告や雑誌のヘアメイクを数多く手がけ、パリコレクションをはじめとしたファッションショーのヘアチーフを担当。また、日本を代表する美術家の森村泰昌氏や写真家・華道家の勅使河原城一氏等との協働を通じ、多様な美の価値観やニーズを捉えて、既成概念を打破するイノベーションに挑戦。インターコワフュール・ジャパン理事、NHDK(日本ヘアデザイン協会) ニューヘアモード創作設定副委員長、資生堂学園テクニカル・ダイレクター、(一社)ジャパン・ビューティーメソッド協会上級認定講師等を務める。