ノビーのテスコム電機をエレコムが買収 体制変わらず、ブランドも継続

経営・業界動向
ノビーのテスコム電機をエレコムが買収 体制変わらず、ブランドも継続

2024.3.25更新

国産プロ用ヘアドライヤー「ノビー」で知られるテスコム電機グループ(株式会社ティーエスシー)が、東証プライム上場の大手コンピュータ周辺機器メーカーであるエレコムの100%子会社になる。

2023年5月29日付で両社が発表した。体制は変わらず、ブランドも継続。協業により、販売の強化や物流の効率化などのシナジー効果が見込まれる。

プロユースで圧倒的知名度、買収後もノビーは継続

美容師の認知度は約90%、サロンでの使用率が約70%(2022年2~3月・セイファート調べ)と美容業界で圧倒的な知名度を誇るヘアドライヤーブランド「Nobby(ノビー)」。

製造元のテスコム電機は、株式会社ティーエスシーの100%子会社。ノビーの開発者でテスコム創業者である楠野幹夫氏の実子で二代目社長の楠野寿也氏(63歳)が、2社の代表を務めている。

エレコムは、5月29日開催の取締役会において、ティーエスシーの全株式を譲り受ける契約の締結を決議した。

これによりテスコム電機はエレコムのグループ会社となるが、テスコムグループの代表は楠野氏が続投し、「テスコム」ブランドも継続する

企業の永続性と成長、事業承継のため協業の道へ

エレコムによる発表と同日、テスコム電機グループは楠野代表の名で取引先にお知らせを送付した。

それによると、近年の競争環境の激化、原料高や為替変動の影響、代表である楠野氏の年齢などをかんがみ、企業の永続性と成長、事業承継のためには、信頼できる企業との協業が有効だと判断して提携に至ったという。

また、エレコムのグループ会社となることで、販売の強化、物流の効率化、開発品質の向上が見込めるとしている。

エレコムは新規事業「家電」に期待

美容業界ではヘアドライヤーやヘアアイロンなど美容家電のメーカーとして認知されているテスコム電機グループだが、ホットプレートやミキサーなどの調理家電でもシェアを獲得している

エレコムは新規事業のテーマとして「家電」を掲げ、2022年から調理家電市場に参入した。テスコム電気グループのノウハウを得ることで垂直立ち上げし、事業の成長を加速させる考えだ。

売上高100億円、営業利益7億円

ティーエスシー(テスコム電気グループ)の2022年9月期業績は、売上高100億5800万円(前年比1.0%減)、営業利益7億500万円(同20.7%増)、経常利益5億2600万円(同24.7%減)、純利益4億500万円(同1.2%減)。

(連結)2021年9月期
(百万円)
2022年9月期
(百万円)
前年同期比
(%)
売上高10,15910,058-1.0
営業利益58470520.7
経常利益699526-24.7
純利益410405-1.2

今回の取得価額は99億2000万円。株式の譲渡は7月26日の実行を予定している。

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文/大徳明子

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