まずは、1年以内の離職率(「直近1年以内離職者」÷「美容師免許保有者かつ現在美容師+直近1年以内離職者」)の推移を見てみましょう。
2019年に5.0%だったスコアは年々減少。2022年にやや上昇するも、2023年には3.1%と過去5年間で最も低いスコアになりました。
美容師離職率(「免許保有者かつ美容師経験はあるが、現在美容師ではない人」÷「免許保有者かつ美容師経験者」)も5年で最も低い数字となっています。
ここ数年、ヘア業界では「ママ美容師が働きやすい環境づくり」「スタッフの福利厚生改善」「アシスタントの早期デビュー」など、働き方改革が進んでいます。離職率が低下している背景には、こういった取り組みの影響もありそうです。
次に、仕事の満足度を見ていきましょう。前年に比べて、どの項目も満足度が向上していることが分かります。
最も増加したのは「職場の人間関係に満足している」(2022年:58.1%→2023年:65.9%、7.8ポイント増加)。次に「仕事そのものに満足している」(2022年:58.9%→2023年:66.6%、7.7ポイント増加)と「仕事を通じて、『成長している』という実感を持っている」(2022年:51.6%→2023年:59.3%、7.7ポイント増加)です。
「職場の人間関係」は、サロンを辞める際の理由として直接的・間接的に影響の大きい項目です。美容師の定着の大きなカギとなる「職場の人間関係」が改善されることで、定着率があがり離職が下がったのではないかと考えられます。
「働くにあたってもっとも重要なこと」のトップ5を見てみましょう。
1位は「通勤がしやすい」。調査の対象者は、正社員・業務委託・パートなど様々な働き方を含みます。この影響もあるかもしれませんが、20万軒を超すといわれる美容室では、他店との差別化要因がなければ、立地面のみで決められてしまうという裏返しかもしれません。
2位「働いているスタッフの人柄」、4位「サロンの雰囲気やテイストが合う」とサロンでの人間関係に近い項目がここでもランクインしています。これらは、求人票をパッと見ただけでは分かりづらく、このため「実際は違った」というギャップが起こりやすいように思います。
サロンにも求職者にもWin-Winとなるよう、求職ページだけではなく、サロンやスタッフの様子を普段からSNSでアップしたり、集客サイトなどの情報を充実しておいたりすることが、結果として求人にもつながるでしょう。
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